水カン、MYTH & ROID、イトヲカシ、NEWS、THE BAWDIES…メンバーの関係性が生む「化学反応」に注目

 作詞・作曲、アレンジ、サウンドメイク、歌、演奏、ビジュアルワーク、パフォーマンスを含め、ポップミュージックを構成するすべての要素は(当たり前だけど)様々なセンスを持ったクリエイター、プレイヤー、シンガーなどのコラボレーションによって成り立っています。今週はメンバー同士の関係性が感じられ、刺激的な化学反応が堪能できるアイテムを紹介します!

 コムアイ、ケンモチヒデフミ、Dir.Fのトライアングルによって、音楽、カルチャー、アート、メディアを融合した活動を続け、いまや日本を代表するポップ・アイコンとなった水曜日のカンパネラの新作『SUPERMAN』は“時代を変えるスーパーマン不在の時代”をテーマにした作品。従来のテクノ〜エレクトロ路線に加えてベースミュージック、民族音楽の要素を取り入れたケンモチのトラックメイクも素晴らしいが、特筆すべきはコムアイのボーカル。特にメロディを歌うパートでの表現力が格段に向上し、“ボーカルの表情によってトラックの良さが引き立つ”という現象が起きているのだ。コムアイのシンガーとしての成長は、このユニット全体のクオリティをさらに引き上げていると言ってもいいだろう。

水曜日のカンパネラ「一休さん」

 水曜日のカンパネラと同じく、“男性クリエイター × 女性シンガー”というフォーマットをアップデートさせているMYTH & ROID。Tom-H@ckが手がける音楽的情報密度の高い楽曲、そして、緻密かつダイナミックなメロディを本能的に歌いこなしてしまうMayuのボーカルがこのユニットの魅力だが、“幼女の皮をかぶった化物”を軸にしたTVアニメ『幼女戦記』(TOKYO MXほか)のOPテーマ曲「JINGO JUNGLE」によって、そのコラボレーションの質は格段に飛躍を遂げた。強靭なインダストリアルロックと鋭利なエレクトロサウンドを共存させ、猟奇的なアニメの世界観とカッティングエッジなポップミュージックとしての機能を同時に成立させる。アニソンというフォーマット自体を刷新するような、きわめて刺激的な楽曲だと思う。

MYTH & ROID「JINGO JUNGLE」

 ソロのシンガーとしても活躍する伊東歌詞太郎、作曲家・アレンジャーとして才能を発揮している宮田“レフティ”リョウによるイトヲカシも、“二人で音楽をやる意味”を実感させてくれるユニットだ。メジャー2ndシングルは、受験生のために制作された超ストレートな応援歌「さいごまで」、シンプルなバンドサウンドのなかで“傷つき合いながら、それでも一緒に進んでいこう”という決意を歌ったラブソング「カナデアイ」による両A面。90年代のJ-POPをルーツに持つという伊東、宮田の音楽性、そして、“マニアックになり過ぎず、サブカルにも近づかず、あくまでも王道のポップスをやりたい”という二人の共通認識がはっきりと示されたシングルだ。

イトヲカシ「さいごまで」

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