THE SLUT BANKS、結成20周年で思うこと「いやらしい気持ちがあったらバンドは長く続かない」

THE SLUT BANKSが結成20周年迎えて思うこと

 THE SLUT BANKSが12月21日に結成20周年を記念したアルバム『1996 FIND MY WAY』をリリースした。インディーズ時代から日本コロムビア在籍時代、現在に至るまでのすべてを網羅したオールタイムベスト全23曲に加え、新曲7曲を収めたミニアルバム、さらには全ミュージックビデオとインタビュー映像を収録した、SHM-CD2枚+DVDという豪華仕様になっている。

 ベスト盤<DISC 1>の時代順に並んだ楽曲群をあらためて聴くと、当時の様子が蘇りながらも今なお奇抜さすら感じる楽曲とそのサウンドに耳を奪われる。「色褪せない」だとか「時代を見据えていた」とも違う、誰にも真似できることのない独自のスタイルである。それは結成当時から完成されていたものであり、活動休止期間があろうと、メンバーチェンジがあろうとも、バンドの本質がまったく変わっていないことを再認識させられる。攻撃的なバンドサウンドに襲われながらも、どこか心地よさを感じてしまうのは、抜群のソングライティングセンスを持つ戸城憲夫(DUCK-LEE/Ba.)と、人間らしくて男臭いTUSK(Vo.)の歌が放つ圧倒的な存在感だろう。

 そんなバンドの現在がよく現れているのが<DISC 2>の新曲7曲である。スリリングな楽曲展開とスピード感、楽曲展開がロックバンドとしての真髄を見せる「RUN GIRL LOVE」。スラットらしいポップ&キャッチー性が炸裂している「いい事ずくめ」「SO BRIGHT」から、これぞスラット節ともいえる暴走ナンバー「東京迷子」など、狂気と哀愁が共存するTHE SLUT BANKSの懐の広さを魅せつけてくる、新曲なのにどこかベスト感すらある7様な楽曲である。前作『ROXY BABY』より増して、坂下丈朋(参代目ACE DRIVER/Gt.)のダーティーなギターと、 カネタク(Dr.)の躍動感みなぎるドラムがバンドの暴走具合を加速させていることも感じられるはずだ。20周年を迎えた現在、バンドの状態が最高潮にあることは、その強靭なサウンドへと顕著に表れている。

 さて、そんなTHE SLUT BANKSの4人に今作のこと、現在のシーンのこと、そしてこれからのこと……、話を訊いた。前回インタビューに続いて、貫禄と余裕が溢れ出るインタビューである。(冬将軍)

「常にチャレンジはしていってるけど一本筋が通ってる」(坂下)

ーーベストはメンバー自らの選曲だそうですが、どういった基準で選んだのでしょう?
 
戸城:ライブでよくやる曲が中心になってる。セットリストを決めるような感じで、選曲自体はわりとすんなりといったね。

TUSK:昔の音源は手に入りづらいものもあるんですよ。だから、ライブで聴いてくれた人が「この曲カッコイイな」と思ったとき、音源がないと寂しいじゃないですか。

ーー20年分の楽曲をベストという形であらためて聴いてみてどうでした?

戸城:変わってねぇな、俺。10代の頃に始めたバンドだったらともかく、年齢的に伸びしろどころか、伸びきったところから始めたわけだから。余計に「全然変わってねぇな」という(笑)。

ーー坂下さんとカネタクさんは、加入前の楽曲が多く収録されているベストですし、客観的に感じた部分もあるかと思います。

坂下:幅は結構広いけど、そんなに突拍子ないことやってるわけでもないし。ちゃんと一本筋が通ってるとでもいうか。常にチャレンジはしていってるんだけど、基本的には変わってないよね。それを含めて戸城さんらしさ。そのあたりはすごいですよね。20年間やり続けてきているわけだから。

カネタク:あらためて聴いて、本当にすごい曲だなと。

戸城:なんか、わざとらしいな(笑)。

カネタク:いやいやいや(汗)。20代の僕が聴いても古さを感じない。そもそも歳を感じないし、年齢差も感じない。……これ、前回も同じこと言いましたよね。

坂下:古さはないっすよね。面白みがある。フックというか、聴いていて「なんだこれ?!」と思わせてくれる。この20年間積み重なったものがこうして結果として出ているけど、思考的には何も変わってないんでしょうね。戸城さんも、TUSKも。

ーーお二人(坂下&カネタク)は、初期曲をライブで演奏するときに、フレーズなどをあえて自分流に変えたりすることはありますか?

坂下:変えるというか、同じようには弾けないからね。やっぱり弾いてる人間自体が違うわけだから、出す音も違うし、同じことやっても違ったものになるだろうし。それが嫌な人もいるかもしれないけど、そこは楽しんでもらうしかない。

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TUSK(Vo)

カネタク:新美(俊宏/Smokin' STAR)さんが叩いてた初期の曲とか、勝手にツーバス入れたりしてますね。こっちの方が「面白いかなぁ」とか試したりします。ツアーでライブの本数が多いと、観てる人にも自分にも刺激になるように、毎回どこか変えてやろうと思ってやってます。初めて来る人や久々に来る人が「あ、ライブではこうなるんだ」と感じてくれたら嬉しい。結構アレンジ変わってるんで、ぜひライブに来てください。

ーーライブバンドらしいところですね。そうしたサウンドやアレンジの変化が、歌に与える影響はあるのでしょうか?

TUSK:そこは説明しづらい部分なんですけどね。ちょっとフレーズが変わったりとか、そういういろんなことが刺激になって、曲が進化していくわけだから。みんなで音を合わせていく中で、一つに作っていく感じですよ。

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