松村早希子の「美女を浴びたい」
amiinAの物語は続くーー主催イベント『Wonder Traveller!!! act.5』で生まれた“大きな光”
amiinA主催の『Wonder Traveller!!! act.5』(以下WT5)、今回のテーマは「光の旅」。近年はロックフェスにアイドルが出演することも決して珍しい事ではなくなり、もはや両者に壁などないとされるのが当たり前の時代に、「光の旅」というテーマのもとで両者が何を見せられるのか。アイドルにはアイドルにしか表現できないことがあり、ロックバンドにもバンドでしか見せられない世界があることを、各々が各々のやり方で、しかし全てが一つの大きな光となって、目の前で確かに証明してくれました。
出演者:3776/井出ちよの、sora tob sakana、あらかじめ決められた恋人たちへ、963、アイドルネッサンス、RYUTist、HUSKING BEE、amiinA(出演順)
2016年12月28日、amiとmiyuの二人からなるガールズユニット・amiinAが主催するイベントWT5が、渋谷WWW Xにて開催されました。
プロデューサーの齊藤州一氏が蒔いた種を、二人の少女がステージ上で花開かせるamiinA。他のどんなグループにも似ていない強固な世界観は、昨年10月に発売されたアルバムにも、一回一回のライブにも貫かれています。そして、この1年のamiinAの活動の集大成のようなイベントがWT5でした。
天井に掛けられた色とりどりのフラッグ、入り口の扉からトイレの壁までいたる所に張り巡らされた動物達のシルエットやメッセージ、腹ごしらえしたくなった時には美味しいフード(amiちゃんはキュウリが好きなので、メニューにキュウリのビール漬けがあるという遊び心も)もあり、WWW XがamiinAとスタッフの方々によるおもてなしの心で満たされ、会場はこれから始まる旅の準備が万端に整えられていました。この過剰なまでのサービス精神は、『Wonder Traveller!!!』が始まった当初の会場・新宿RUIDO K4から、会場が大きくなっていっても変わらず貫かれています。
WT第1回目からお馴染みの、司会者というよりも旅の案内人と言った方がお似合いの男性・「ナビゲーターのナガセ」さんが、ステージの端っこに下がっている電球を点けると、物語が始まります。ステージの上には7冊の本が置かれ、それぞれの出演者の出番前に、ナガセさんがその本を手に物語の序文のように語り、各出演者一組に対して一冊の本が用意されています。
1冊目…3776/井出ちよの
30分の出演時間の中でしっかり衣装も着替えて、3776と井出ちよのソロプロジェクトの2つの面を見せてくれました。「3776」と「井出ちよの」両方のパフォーマンスが短い時間の中にぎゅっと詰め込まれていて、ちよのちゃんの表現力の豊かさと、背景の大きなスクリーンに映るドキュメンタリー映画のような映像の効果も相まって、ステージ上には現実と虚構が混ざり合っていました。
2冊目…sora tob sakana
背景スクリーンを活かしたVJ映像とのコラボレーションが強烈で、作り込まれたステージの上で幼い女の子たちが必死に歌い踊る姿は、神に捧げられる巫女のような尊さでした。白いフワフワした衣装のスタンダードなアイドルっぽさと、突き刺さるような音楽のギャップに目を奪われます。
3冊目…あらかじめ決められた恋人たちへ
何もかも忘れて踊り狂っていたので、何も言葉が出てきません!
前回のWT(act.4)出演時に、そして今回もラストに演奏された「前日」。この曲が最後に選ばれたことは、このフロア、このamiinAの旅に集う観客への信頼感の表れかもしれません。
intermission……963
本が7冊しかないのを見た時、963の分が無い! と思いましたが、「休憩時間中に起こる突然の出来事」のようなハプニング的登場の彼女達は、本のページとページの間に挟まったしおりのような役割なのかもしれません。ステージの上ではなく観客フロアに降りてのパフォーマンスで、旅行船の中に紛れ込んだかわいいネズミたちが、船内を引っ掻き回して去っていったかのようでした。
4冊目…アイドルネッサンス
今まで観た彼女達の中で、最も攻撃的なライブでした。以前のセーラー服ではなくアオザイのような身体のラインに沿った形の衣装になっていた事もあって、ぐっと大人っぽく見え、少女が大人になってゆく段階の一瞬も見逃せない儚い美しさが詰まっていました。メンバーの比嘉奈菜子さんがamiinAのステージに感激して、終演後の握手会の時にワンワン泣いていたことが印象的です。