METAFIVEが語る、止まらぬ創作意欲の“原点” 「足し算ばかりを考えなくていいんです」

METAFIVE、止まらぬ創作意欲の“原点”

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「“いつまでもあると思うなMETAFIVE”ですね(笑)」(TOWA TEI)

ーーライブにおけるリレーションシップもさらに精度が上がってますよね。今年の夏フェスのライブも、明らかに生々しいライブ感が上がっている印象を受けました。

ゴンドウ:うん、そうですね。みんなもどんどん慣れてきてると思うし。

TEI:ライブですごく変わる楽曲もあれば、レコードと同じように響かせる楽曲もあるんだけど、やり方がわかってきたんでしょうね。まりんは基本的にベーシストの役割(シンセベースを手弾き)になってきてるし、メンバーそれぞれの住み分けも自然と見つかったんじゃないかな。ゴンちゃんはYMOでの役割と同じ感じだよね。全体の制御とホーンという感じでしょ?

ゴンドウ:そうですね。METAFIVEは、バンドとの関わり方も新鮮なんですよね。たとえばライブの曲順もみんなで話しながら決めたり。LEOくんの存在も大きいですね。テンションが高いから、まわりも自然と熱くなるというか。

TEI:そうだね。たぶん自信もついてきたと思うし、ライブに関してはLEOがいないとマズいから。メンバーが6人いるのも良いんでしょうね。ふたり組だとダメになったらダメじゃないですか。「○か×か」というデジタルな感じになってしまうけど、6人いればバランスも取りやすいからね。みんなが全力でやるとオーバーフロウしちゃうから引き算が必要なんだけど、それが出来る人たちだし。

ゴンドウ:みんな“P(プロデューサー)”が付く人たちですからね。

ーープロデューサー・チームでもあり、それぞれが優れたプレイヤーでもあり。日本には稀なスタイルのバンドですよね。

TEI:さっき言ったように各々が2曲作ればアルバムになるんだから、こんなにラクなことはない(笑)。僕はジャケットを作ったりするのも好きだし、そこでも楽しんでますね。今回の「METAHALF」ジャケットなんて「3人ずつ写ってればいいか」っていう(笑)。

ゴンドウ:そうやってみんながアイデアを出しても、しっかり一致するんですよ。アレンジに関しても「任せておけばいい」というのもわかるし。それがわからないと、最後まで付き合わないといけないじゃないですか。

TEI:そうだね。リミックスの仕事で(原曲の音源を聴いて)「ひどい音だな」と思うこともあるけど、このバンドではそんなことがまったくなくて、言うまでもなく、みんながいい音を作ってるから。そういうメンバーが揃っていることは本当に助かるし、楽しいですよね。僕はバンドがイヤでソロになったんだけど(笑)、次のソロアルバムは“METAFIVEのTOWA TEIのアルバム”ですからね。そういうのはDeee-LiteのTOWA TEIとして発表した『Future Listening!』(1994年)以来だから、新鮮ですよ。そういえば「次のアルバムのキャッチコピーは“METAFIVEの合間に作りました”がいいんじゃない?」って幸宏さんが言ってました(笑)。

ゴンドウ:いつの間に? っていう感じですよね。TEIさんは音楽を作るのが本当に好きなんだと思うし、尊敬しますね。

TEI:いやいや。音楽を聴くのも好きだけど、聴いてるだけだとお金もらえないから(笑)。ゴンちゃんも“METAFIVEの権藤知彦”でリリースしたほうがいいんじゃない?

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ーーMETAFIVEに参加したことで、それぞれの活動が活性化する効果もありそうですね。それにしても、ここ数年の幸宏さんの精力的な活動には本当に驚かされます。

TEI:すごいですよね。多忙だし、タフだし。サシで食事することもありますけど、そこで話していると「メンバーのなかでいちばん“終わり”が見えてるのかな」と感じることもありますね。そういうのって意外と終わらなかったりするんだけど、「いまと同じように、来年、再来年はできないかもしれない」という締め切り感、デッド感があるのかもしれない。だから「やれるうちにやっておこう」という感じになってる気はしますね。

ーーゴンドウさんはMETAFIVEのメンバーのなかでも幸宏さんとの付き合いがいちばん長いと思いますが、音楽活動に対する意欲には変化は感じますか?

ゴンドウ:感じますね。「何をそこまで」じゃないですけど、すごいなって。

TEI:SKETCH SHOW(高橋幸宏、細野晴臣のエレクトロニカ・ユニット)が2002年だよね? あのときに「TURN TURN」という曲のミックスを頼まれてーーそれは僕にとってもすごく光栄なことだったんですけどーーあの頃からアクティブになってきた気がするんだよね。

ゴンドウ:そうかもしれないですね。

TEI:あのときは世界の旬とリンクした大人のテクノという感じだったけど、最近はもっと“動”の要素が強くなってますよね。In Phaseはロックだし、METAFIVEはさらにエレクトリック、ファンクの要素もあって。それは他のメンバーにも影響してるんじゃないかな。LEOくんの歌詞も〈ガキ 自分の番を待てよ〉(「Peach Pie」)ですからね。すごい歌詞だな、これ……。

ーー年末には初の単独ツアー『METAFIVE“WINTER LIVE 2016”』が開催されます。

TEI:この時期にツアーをやろうと決めていたわけではないんですよ。今回のミニアルバムもそうだけど、あらかじめ計画していたのではなくて、偶然そうなったところもあるので。オリジナルアルバムがあって、フェスに出演して、ミニアルバムもあって、ツアーもあって。これだけMETAFIVEイヤーになるとは思ってなかったですね。

ゴンドウ:ツアーは5本ですけど、もっとやりかったですね。海外でもやってみたいんですよ。歌詞も英語が多いし、盛り上がると思うので。

TEI:ロックが好きな人も自然と体が動くだろうしね。METAFIVEのライブって、リハが終わったあとのビールがすごく美味いんですよ。

ゴンドウ:いいことじゃないですか(笑)。

ーーフェスのMETAFIVEを見ていると、若いオーディエンスが増えている印象もあります。

TEI:そうかもしれないですね。僕らの子供くらいの世代って、親が聴いていたニューウェイブも知ってるし、そこから音楽を始めてたりするんですよね。いまの30代くらいよりも、10代後半、20代前半のほうが僕らと自然とリンクすることもあるんじゃないかな。

ーーツアーにも期待してます! 改めて聞きたいのですが、METAFLIVEの活動がここまで順調なのはどうしてだと思いますか?

ゴンドウ:そうですね……。やっぱり音楽性が近いということじゃないですか。

TEI:そうだね。「このメンバーを集めたら、どうなるだろう」と奇を衒ったわけではなくて、もともと近い人たちを幸宏さんが集めたわけだから。そこがいちばん大きいかな。

ーー来年以降もぜひ続けてほしいです。

TEI:“ずっと”は無理ですけどね。幸宏さんは6月6日生まれで、「66才まではやる」って言ってるんですよ。来年は65才、再来年は66才ですから。「いつまでもあると思うなMETAFIVE」ですね(笑)。

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(取材・文=森朋之)

■リリース情報
『METAHALF』
発売:2016年11月9日(水)
価格:¥1,800(税抜)

<CD収録曲>
1. Musical Chairs
2. Chemical
3. Egochin
4. Peach Pie
5. Submarine

■ライブ情報
『METAFIVE “WINTER LIVE 2016"』
11月30日(水) 広島 クラブクアトロ
12月1日(木) 大阪 なんばHatch
12月3日(土) 東京 ZEPP DiverCity
12月5日(月) 札幌 ペニーレーン24
12月6日(火) 札幌 ペニーレーン24

■関連リンク
METAFIVEオフィシャルサイト

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