森朋之の「本日、フラゲ日!」vol.21
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Shiggy Jr.『ALL ABOUT POP』(AL)
シングル曲「サマータイムラブ」「GHOST PARTY」「恋したらベイベー」「Beautiful Life」含むメジャー1stアルバム。Shiggy Jr.のパブリックイメージと直結するシティポップ風のナンバーを軸にしながら、ヘビィなギターリフが炸裂する「dynamite」、オーガニックなバンドサウンドとともに都会で働く女性を描いた「HOME」、クラシカルなストリングス、フォーキーなメロディ、故郷に対する思いを綴った歌詞がひとつになったバラード「手紙」、90年代J−ROCKを想起させるようなサウンドが印象的な「スタート」といったカラフルな楽曲が収められた本作は、「ALL ABOUT POP」というタイトル通り、このバンドが持つ豊潤なポップ・イディオムとソングライティング・センスを幅広く体感できるアルバムに仕上がっている。優れたポップミュージックに必要な既視感(“どこかで聴いたことがある”という錯覚)を巧みに利用しながら、池田智子のキュートかつシャープな声質を活かし、ライブバンドとしての魅力も感じさせる。緻密なバランスをクリアした本作によって、Shiggy Jr.の音楽性はさらに広く浸透することになりそうだ。
西野カナ『Dear Bride』(SG)
全国アリーナツアー2016『Just Love Tour』を開催中の西野カナから届けられた2016年2作目のシングルは、「Dear Bride」というタイトル通り、真っ直ぐで愛らしいウェディングソング。友達のなかで最初に結婚する“君”に対する、ちょっと寂しさが混じったお祝いの気持ち、“何があってもずっと彼がいてくれるから大丈夫”というエールを描いたこの曲は、20代女性の新たな結婚式ソングの定番として認知されること必至だろう。<新しい苗字も自然になって/慣れない料理も少しずつ上手になって>というオーソドックスな(?)結婚観をどこまでも素直に描き(このあっけらかんとした朗らかさには、フェミニスト系の方もツッコめないのではないだろうか)、ほんわかと幸せなムードを生み出せる歌唱は、西野カナの真骨頂と言っていい。「Dear My Friends」(2009年)から7年経って、友達が結婚しはじめる年齢になったんだな……みたいなストーリーのつなぎ方も上手い。
■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。