cinema staffはインディーズ時代の名曲をどう更新した? 『前衛懐古主義 part1』東京編レポート

シネマが更新したインディーズ時代の名曲たち

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 ここからは「君になりたい」「ニトロ」と人気のナンバーを演奏。ギターが息をするかのようなオーバーなアクションを繰り広げていた辻は、とうとう客席へダイブ。最後は、ギターを鳴らし始めた辻が飯田と向かい合い、2人だけにスポットライトが照らされる。MV通りの演出で「GATE」の演奏をスタートさせると、観客の大合唱が巻き起こり、それに応えるようにしてメンバーは最高のパフォーマンスでライブの本編を締めくくった。

 アンコールで再び登場した飯田は、さまざまな時期から聴いてくれているファンが会場に集まったことに触れ、「今日、結構緊張していたんです。みんなが納得するようなライブがしたくて。楽しんでもらえましたでしょうか」と会場に尋ねると、暖かな拍手が起こった。また、11月30日にリリースするトリプルA面EP『Vektor E.P.』から初解禁となる「返して」をアンコールで披露。飯田と三島の歌声によるハーモニーが心地よい同曲に、初めて耳にする観客も自然と体を揺らしていた。

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 メジャーデビュー後、計5作のフルアルバムをリリースし、自らのオリジナリティを確立してきたcinema staff。かつて『JUNGLE☆LIFE』で答えていたインタビューでは、初めてリリースした『document』の制作を振り返り、飯田が「自分たち的には納得いっていない感じだったんです。初めてのちゃんとしたレコーディングだったので全然上手くいかなくて」と語っていた。しかし、8年の時を経て、彼らの音楽の原型を作ったインディーズ時代の曲たちが、まるで新曲のようにいきいきと披露されていた。久野が「昔の曲も今やったほうがカッコいいじゃん」と得意げに話していた通り、バンド自身も楽曲そのものにも磨きがかかっていたように思う。リリース待ちの新曲を含め、cinema staffが自身の楽曲に今後どう磨きをかけていくのか楽しみだ。

 同企画の大阪、名古屋での残り2公演は、11月21日に梅田Shangri-La、11月22日に名古屋CLUB QUATTROにて開催される。

(文=大和田茉椰/写真=Daisuke Miyashita)

cinema staffオフィシャルサイト

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