スコット&リバースが語る、J-POPの革新性と魅力「日本の音楽が僕を自由にしてくれた」

 ウィーザーのリバース・クオモと、ALLiSTER/MONOEYES(the HIATUSの細美武士と一瀬正、ART-SCHOOLの戸高賢史らと組んだバンド)のスコット・マーフィーが、「J-POP」を奏でるために結成したスコット&リバース ― 略して「スコリバ」による、およそ3年ぶりの新曲2曲が8月10日にデジタル配信された。「Doo Wop」は、キヨサク(MONGOL800)のオリエンタルかつパワフルな歌声をフィーチャーした、「これぞJ-POP」というべき疾走感溢れるギターサウンド。一方「FUN IN THE SUN」は、PES(RIP SLYME)によるチャーミングなラップが印象的なレゲエソング。どちらも来るべきニューアルバムへの期待が高まるクオリティである。
 そもそも2人はJ-POPのどんなところに惹かれ、自分たちでも演奏しようと思ったのだろう。我々日本人には気づかない、特別な魅力がどこかにあるのだろうか。去る8月24日、渋谷WWWにて3年ぶりのライブをおこなったスコリバの2人に、J-POPや新曲についてなど話を聞いた。なお、メンバーのたっての希望により、インタビューは全編日本語(通訳なし)でおこなっている。(黒田隆憲)

「progressive(革新的)で面白い音楽が沢山出てきた」(リバース)

ーー夕べのライブは最高でした。2年ぶりの演奏だそうですが、ご本人たちとしてはいかがでしたか?

リバース:すごく楽しかったです。ウィーザーは沢山ライブをやっているから、時々「仕事」みたいに感じてしまうこともあるのだけど、スコリバは純粋に楽しめる。観客はノリノリでしたし。

スコット:一夜だけのライブなんて、もったいない気がするね。もっと沢山やりたい。

スコット・マーフィー

ーースコットさんは去年、日本に移住してきたそうですが、実際に住んでみてどうでしょう。日本の印象は変わりました?

スコット:そんなに変わらないかな。その前もずっと行ったり来たりしていたから。でも、たまにデッカいハンバーグが食べたくなる(笑)。

リバース:日本で暮らし始めてから、スコットの性格が変わりましたね。

スコット:そう? どこが?

リバース:日本人みたい。例えば、僕が美味しい食べ物を沢山持っていて、彼がお腹空いているときに「ちょっと食べる?」ってすすめても、遠慮するようになったんですよ。「いえ、要らないです」って。

スコット:そのときは、たまたまお腹空いてなかっただけ。もともと遠慮するタイプなんだよ、僕は(笑)。

リバース:いや、昔のスコットならたとえお腹空いてなくても遠慮なく食べてました。

リバース・クオモ

ーー(笑)。リバースさんは、初めて日本に来てからどのくらい経ちます?

リバース:1996年の8月だったから、もう20年?

スコット:そっかあ、結構経つね。

リバース:当時はまだ、洋楽がすごく人気ありました。今は、邦楽の方が「モテる」?

スコット:モテる? どういうこと?

ーー人気がある(popular)ってこと?

リバース:そうそう。実を言うと、初めて来た頃はまだ日本の音楽を全然知らなかったんですよ。PUFFYと少年ナイフくらいしか聴いてませんでした。今はprogressive(革新的)で面白い音楽が沢山出てきましたね。

ーー特に好きなのは?

リバース:僕はサカナクション、マキシマム ザ ホルモン、それからBABYMETALなどかな。

スコット:この前、福岡のフェス『NUMBER SHOT』にMONOEYESで出たとき、サカナクションが対バンだったんですよ。それで初めて彼らのライブを観たら、素晴らしかった。芸者が出てきて踊るなど、日本的なパフォーマンスが盛りだくさんでしたね。サウンドは新しいのにメロディはどこか懐かしくて。今までの日本のミュージックシーンにはなかったバンドだと思う。

リバース:マキシマム ザ ホルモンはとにかく濃厚で、「awesome kick-ass rock(パワフルなロック)」! セクションごとの変化も目まぐるしくて面白いです。BABYMETALはサマーソニックで初めて観たのだけど、ものすごくパワフル! 面白くてコワイ!(笑) 周りの観客と一緒に叫びまくってしまいました(笑)。いつかスコリバとコラボレーションをしてほしいです。

ーークール・ジャパン的な要素を打ち出すサカナクションの演出についてはどう思います?

スコット:すごくいいことだと思う。日本の音楽には素晴らしいものがたくさんあるから。このあいだのサマソニでも、「和楽器バンド」というグループが出演していて。和楽器だけを使ってすごくロックな曲を奏でていて、超おもしろかった! イギリスやアメリカの音楽をベースに、そこからオリジナル曲を作っていくのも大事だけど、いかにも「和!」な音楽でもすごくカッコイイのあるから、そういうバンドももっと増えてほしいな。

 

関連記事