スコット&リバースが語る、J-POPの革新性と魅力「日本の音楽が僕を自由にしてくれた」
「『Do You Wanna Get High?』(ウィーザー)のコード進行はチャットモンチーの『シャングリラ』から」(リバース)
ーースコット&リバースは、もともとは「J-POPをやる」というコンセプトで始まったわけですよね。J-POPのどんなところに魅力を感じるのか、改めて教えてもらえますか?
リバース:まずは、スーパー・キャッチーなメロディ。スーパー・ハイエナジーなサウンド。それからコンプレックス(複雑)なコード進行。
スコット:僕はJ-POPよりも先に、沖縄の屋台で三線のサウンドを聴いたんです。今まで聞いたことのない響きでびっくりしました。それからはTHE BOOMの「島唄」のように、琉球音楽とJ-POPを融合したハイブリッドな音楽にも惹かれるようになりましたね。それと、美空ひばりの「川の流れのように」も大好き。独特なメロディセンスが、心にものすごく響きました。
ーーもともと西洋音楽を模倣するところから始まったJ-POPなのに、本家よりもキャッチーでハイエナジーで、コンプレックスな音楽性へ進化していったのは面白いですよね。
スコット:うん、確かに。
リバース:アメリカの音楽はもっとシンプルだし繰り返しも多い。日本の音楽が僕を自由にしてくれました。自分がやりたいことは、J-POPのフォーマットでいくらでも試せると思いましたね。
ーーJ-POPに傾倒することにより、ウィーザーの音楽性も変わってきました?
リバース:うん、コード進行やメロディなど時々影響を受けてるなって感じる時はあります。でも、ストラクチャー(曲構造)までウィーザーの音楽に取り入れるのは無理ですね。
スコット:アメリカ人はついていけないかもね(笑)。
リバース:今年リリースしたウィーザーの新しいアルバム『Weezer』に、「Do You Wanna Get High?」という曲があるのだけど、実はコード進行はチャットモンチーの「シャングリラ」っていう曲からヒントを得ました。
スコット:え、そうなの? それ初耳! 面白いね。
リバース:確かあの曲は、スコットが僕に教えてくれたんだよね。
ーー他にもJ-POPのコード進行などで、独特だなと思うことはあります?
リバース:メロディはすごく西洋的で、特に60年代の音楽から大きな影響を受けているように思うけれど、転調がすごく多くて複雑だったりするのはユニークだなって思う。
スコット:僕はソロで邦楽のカバーをいっぱいしたんですけど、一番びっくりしたのは、オリコンチャートに上がっているほとんどの曲が、同じコード進行だったこと。特に「カノン進行」。それも、ベースが下降していくパターンがめちゃくちゃ多い。
リバース:日本はカノン進行が大好きですね。