ハロプロ秋ソングは全部で何曲? 四季のハロプロ楽曲(秋編)

 数多いハロー!プロジェクトの楽曲には様々なタイプのものがあるが、その中で季節感のある曲は何曲あるのか、数えてみようという恒例企画の第3弾が本記事である。前回までは「春」「夏」を感じさせる曲を調べたが、今回は「秋」ソングを調査したい。

(前回記事:『ハロプロ春ソングは全部で何曲? 四季のハロプロ楽曲(春編)』 『ハロプロ夏ソングは全部で何曲? 四季のハロプロ楽曲(夏編)』

 楽曲を構成する諸要素のうち、季節感を規定するものとはなにか。サウンド面から見て秋っぽい「曲調・音色・メロディー」といったものも存在はするだろうが、今回はそれはひとまず置いて、「曲名・歌詞」という言葉の部分のみで考えていくことにする。具体的には、秋を感じさせるワードが曲名や歌詞に含まれている楽曲を抽出していくことになる。

 「秋」は一年12ヵ月のうちのどこを指すのかも決めておく。前回記事では春を3〜5月、夏を6〜8月と規定したので、今回は9〜11月を秋と考える。

 抽出の対象となるハロプロ楽曲は、1997年11月3日発売のモーニング娘。「愛の種」から、本稿執筆時点での最新リリースとなるつばきファクトリー「独り占め / 私がオバさんになっても」(2016年8月6日発売)までの中で考えていく。

 今回は執筆テーマの関係上、カバー曲などは除外して考える。また、曲名や歌詞に「秋」が入っていても、同時に他の季節が入っているケースについては、今回は除外した。たとえばミニモニ。「春夏秋冬だいすっき!」などである。こういったタイプの曲もけっこう多かったので、また別の機会にまとめて紹介したい。

 それでは以下、抽出した秋ソングを見ていこう。

【凡例】
・カッコの中の4桁数字はリリース年。
・特に表記がない場合はシングル曲。c/w曲、アルバム曲の場合はその都度表記。
・特に表記がない場合、作詞はつんく♂。つんく♂以外の作詞者の場合はその都度表記。

<秋(曲名)>

・秋麗/モーニング娘。(2009|c/w曲)
・銀杏 〜秋の空と私の心〜/美勇伝(2004|c/w曲)
・人知れず 胸を奏でる 夜の秋/プリプリピンク(2005)
・秋桜日和/中澤ゆうこ(1998|アルバム曲|作詞:荒木とよひさ)

 曲名に「秋」が入っている楽曲は4つあった。2009年リリースのモーニング娘。40thシングル「なんちゃって恋愛」のカップリング曲だった「秋麗」はAKIRA編曲によるハウシーなミディアムチューン。この頃の高橋愛がリーダーだった時期の娘。は「プラチナ期」と呼ばれ再評価されているが、そのアダルトな雰囲気にもよくマッチしたナンバーだ。「麗らか」という単語自体は晴れ空に日が照っている様を表す春の季語だが、そこに「秋」「冬」などを加えることで他の季節の季語にもなる。なお、表題曲の「なんちゃって恋愛」は直接的に秋を連想させる歌詞ではなかったので今回リストアップしなかったが、つんく♂は「秋に心濡れる曲」と言っており、表題曲とカップリング曲の両方で秋を表現しているようだ。

 「銀杏 〜秋の空と私の心〜」はリラクシン・ソウルなトラック(マーヴィン・ゲイ「What's Going on」を引き合いに出されることが多い)の上を石川梨華のフェイク&歌声が浮遊するという不可思議な魅力が発揮された一曲。2005年度のシャッフルユニットとして中澤裕子・飯田圭織・保田圭・稲葉貴子の4人で結成されたプリプリピンク「人知れず 胸を奏でる 夜の秋」はさすがの歌唱力で聴かせてくれるバラード。その中澤の1stアルバム『中澤ゆうこ 第一章』収録のオリジナル曲「秋桜日和」は堀内孝雄作曲によるさわやかなフォーク調。

<秋(歌詞)>

・長良川の晴れ/中澤裕子(2004)
・THE LAST NIGHT/松浦亜弥(2003)
・内心キャーキャーだわ!/美勇伝(2005|c/w曲)
・ロマン/ROMANS(2003|c/w曲)
・ハピネス 〜幸福歓迎!〜/Berryz工房(2004)
・21時までのシンデレラ/Berryz工房(2005)
・都会っ子 純情/℃-ute(2007)
・だけど 愛しすぎて/平家みちよ(1998|作詞:牧穂エミ)
・恋のヌケガラ/美勇伝(2004|作詞:湯川れい子)
・花言葉/真野恵里菜(2010|c/w曲|作詞:三浦徳子)

 歌詞に「秋」が入っている曲は10曲あった。まずつんく♂作詞の7曲ではそれぞれ〈秋になればなれで 紅葉がすごい〉〈秋が好きだと言えば 好きになれたし〉〈無邪気に はしゃいでる秋だわ 楽しい〉〈秋がそこに居る 匂いがしたわ 季節がまた変わるね〉〈WE WELCOME THIS HAPPINESS! TONIGHT 秋風の中で〉〈秋には色々 イベントが満載〉〈(Don't stop) 秋は夜(よ)が長くて〉となる。

 特に松浦亜弥「THE LAST NIGHT」では〈春はちょっと会えなくて 夏ははしゃいだ なぜ終わりなの? なぜ… 冬が始まる〉、Berryz工房「ハピネス 〜幸福歓迎!〜」では〈10月の出会いは 長く幸せになると〉〈もみじが美しい〉など、完全に秋をテーマにした歌詞となっている。「THE LAST NIGHT」はあややのシングル曲としては初の本格バラードで、MVでは真っ赤な紅葉が舞い散る中で歌う彼女の姿が鮮烈な印象を残し、ハロプロ秋ソングといえばまずこの曲の映像が頭に思い浮かぶ。

 つんく♂以外の作詞3曲ではそれぞれ〈秋の夕暮れ 涙を連れて来る ひとりきりでは 夜が長すぎるよ〉〈燃える太陽 沈んだあとは 淋しい秋がくるよ〉〈秋風にゆれてた花 魔法みたい 花束にして〉といった歌詞となっている。「恋のヌケガラ」は美勇伝のデビューシングルで、そのカップリング曲は前述の「銀杏 〜秋の空と私の心〜」であり、これも2曲両方とも秋を表すシングル作品のパターンということになる。

ハピネス 〜幸福歓迎!〜/Berryz工房

<秋を連想させる単語(歌詞)>

・あなた色/安倍なつみ(2004|アルバム曲)
・クレナイの季節/美勇伝(2005)
・WOW WOW WOW/プッチモニ(2003|アルバム曲)
・プリーズ ミニスカ ポストウーマン!/スマイレージ(2011)
・初めてを経験中/Juice=Juice(2013)
・七回歌うといいことがある歌/松浦亜弥(2009|アルバム曲|作詞:久保田洋司)
・木立を抜ける風のように/ODATOMO(2014|作詞:三浦徳子)

 「秋」を連想させる単語が歌詞に使われているケースは7曲あった。つんく♂作詞の5曲は〈恋の味は9月の夕立みたいで/鈴虫が鳴く恋の季節に 抱かれたいわ〉〈あかい(LOVE)紅葉みたく色艶かで(HA AH)〉〈街の中の木々も色づきだした季節 夏の終わりに始まった恋も紅葉してる(BABY)〉〈運動会 おんぶされたのが 嘘みたいな去年〉〈夜の長い季節だけど もうすぐ誕生日デート〉。「プリーズ ミニスカ ポストウーマン!」の〈運動会〉というフレーズは少し強引かもしれないが、やはり運動会は秋か春に行われるイメージがある。「初めてを経験中」の〈夜の長い季節〉も、「秋の夜長」という言葉が思い出される。

 つんく♂以外の作詞2曲では〈雲に隠れた 十六夜(いざよい)の月〉〈迷うこころは 枯れ葉の下に 置いて行きなよと言って下さい〉。〈十六夜〉は秋の季語。〈枯れ葉〉は正確には冬の季語だが、シャンソンの有名曲「枯葉」の英語タイトルが「Autumn Leaves」ということもあり、秋のイメージもあるだろう。

初めてを経験中/Juice=Juice

 以上、全21曲がハロプロ秋ソングということになる。やはり秋ソングはしっとりとした雰囲気のミディアム〜バラード曲が多い傾向にある。それでは最後に、この中から個人的に特にオススメしたい良曲5曲をセレクトして推薦させていただき、本稿を終える。

【ハロプロ秋ソング・ベスト5】
・THE LAST NIGHT/松浦亜弥(2003)
・ハピネス 〜幸福歓迎!〜/Berryz工房(2004)
・銀杏 〜秋の空と私の心〜/美勇伝(2004|c/w曲)
・人知れず 胸を奏でる 夜の秋/プリプリピンク(2005)
・秋麗/モーニング娘。(2009|c/w曲)

<プロフィール>
ピロスエ
編集およびライター業。企画・編集・選盤した書籍「アイドル楽曲ディスクガイド」(アスペクト)発売中。ファンイベント「ハロプロ楽曲大賞」「アイドル楽曲大賞」も主催。

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