Buono!がついに帰ってくるーーハロプロ内の“異端”ユニットを改めて紐解く
Buono!とブドーカン
ニューシングルのもう1曲「ロックの聖地」は、人気曲「ロックの神様」(2008年)のアンサーソングである。〈小さなステージでも あたしたちにはブドーカン〉と、Buono!の3人をアマチュアのロックバンドになぞらえ、“ロックアイドル”としてのテーマ性の原点ともいえる楽曲「ロックの神様」の応えが、10代から大人のオンナになったBuono!から届けられた。ファンなら思わずニヤリとしてしまう、往年曲の珠玉フレーズの数々が随所に散りばめられており、この遊び心もこれまでBuono!楽曲を数多くを手掛けてきた西川ワークスの為せる業だ。
また、アイドルが多数出演するイベントにハロプロのグループが出演すること自体がまだほとんどなかった2012年には、指原莉乃プロデュース『第一回ゆび祭り〜アイドル臨時総会〜』に参加し、話題となった。鈴木愛理が1曲目「初恋サイダー」の歌い出しで会場の空気を一変させたことは、今でもアイドルファンの間で語り草になっている。百花繚乱のアイドルブームを迎え、多様化する音楽性と変化球のある楽曲も多い中で、普遍的なアイドルポップスを実力と経験に裏付けられたスキルで伸びやかに悠々と歌い踊る貫禄のステージは、正統派アイドルの姿として、改めて多くのアイドルへ影響を与えた。
ハロー!プロジェクト所属ながら、楽曲&音源制作は一貫として外部、という例外のユニットであった、Buono!。つんく♂色の強かった当時のハロプロの中で、それはある種の清涼剤のような存在でもあった。あれから4年、ハロプロも、メンバーを取り巻く環境も大きく変わった。嗣永桃子はBerryz工房からカントリー・ガールズへ活動の場を移し、鈴木愛理は℃-uteの解散を発表したばかりだ。そして夏焼雅はハロプロを離れ、この日に本格始動となる新グループとしての活動も控えている。そんな現在の3人の紡ぎ出すBuono!は、どんなステージを見せてくれるのだろうか。
■冬将軍
音楽専門学校での新人開発、音楽事務所で制作ディレクター、A&R、マネジメント、レーベル運営などを経る。ブログ/twitter