『Mステ』初登場、Aimerの歌声はより大きなフィールドへ RADWIMPS野田プロデュース曲「蝶々結び」への期待
一度聴いた瞬間に、胸を揺さぶられる。
Aimerがリリースした新曲「蝶々結び」は、そういうタイプの楽曲だ。誰もが目にしたことがある身近なモチーフからスケールの大きな愛の感情を浮かび上がらせる、とても感動的なバラードだ。
楽曲提供とサウンドプロデュースを手掛けたのは野田洋次郎(RADWIMPS)。すでに先行配信の段階から話題を集めているこの曲だが、8月17日のCDリリース、そして8月19日の『ミュージックステーション』出演をきっかけに、さらに大きな反響を集めるのは間違いないだろう。
というか、この曲、数カ月とかのレベルではなく、数年、ひょっとしたら10年以上にわたって愛されていくスタンダードナンバーになるんじゃないかという予感すらある。
<片っぽで丸を作って しっかり持ってて
もう片っぽでその丸の後ろを ぐるっと回って>
「蝶々結び」は、こんな歌い出しから始まる。ピアノの叙情的な響きに乗せて、Aimerの深みのある歌声が響く。曲名の通り、歌詞のほとんどは、ひもの結び方について綴られている。サビでAimerはこんな風に歌う。
<羽根は大きく 結び目は固く
なるようにきつく 結んでいてほしいの>
なぜ、そういう曲が感動的な響きを持っているのか。それは、曲の後半で、「結ぶ」という言葉に込めた象徴的な意味合いが徐々に明らかになっていくからだ。曲のクライマックスでは、野田洋次郎とハナレグミがコーラスに参加し、Aimerは切々とした歌声を響かせる。そこではこんな言葉が歌われる。
<この蒼くて広い世界に 無数に 散らばった中から
別々に二人選んだ糸を お互いたぐり寄せ合ったんだ
結ばれたんじゃなく結んだんだ 二人で「せーの」で引っ張ったんだ
大きくも 小さくも なりすぎないように 力を込めたんだ>
「結ばれたんじゃなく結んだんだ」という一節が、とても印象的だ。
古くからの伝承としてよく言われる言葉に「赤い糸」というものがある。「結婚する男と女は、生まれたときからお互いの小指と小指が目に見えない『赤い糸』で結ばれている」という言い伝えだ。それと対比させてこの「蝶々結び」を聴くと、この曲の持つロマンチックな情景が鮮やかに浮かび上がる。
つまり、愛し合う二人の出会いと縁を「結ばれた」(=運命)ではなく「結んだ」(=意志)として描くのが、この「蝶々結び」という曲の主題だ。
ひょっとしたら10年以上にわたって愛されるスタンダードナンバーになるんじゃないかと思ったのは、きっと、この曲を結婚式で使いたい、歌いたいと思う人が沢山いるだろうから。たとえば木村カエラの「Butterfly」がそういう曲だった。そういうふうにして歌い継がれていくだけのポテンシャルを、この「蝶々結び」という曲も持っている。