the GazettEがバンドの真髄を見せつけた夜ーースタンディングツアー新木場公演をレポート

the GazettEセミファイナル公演レポ

 the GazettEの音楽は決して大衆性のあるものとは言い難い。しかしながらマニアックに偏るわけでもなく、日本古来の叙情的な趣をも感じられる。国内外ロックのコアな部分を自分たちなりに咀嚼し、徹底的なこだわりを見せながらもどこか親しみやすいものへと昇華させていく。日本国内のみならず、海外からもthe GazettEが支持されるのはそうした魅力に他ならない。

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 「声聞かせてくれ!」RUKIの煽りで始まった「INCUBUS」からの後半戦。何度もシャウトするRUKIの声に全身全霊のヘッドバンキングで応えるオーディエンス。「グチャグチャになっちゃえよ!!」激しい煽りに乗せた「HEADACHE MAN」、会場一体の掛け声「UNTIL DIE!!」に導かれた「ATTITUDE」、ブチ上がりのインダストリアルなキラーチューンの猛攻撃にフロアはカオスティックな状態へ。

「やっぱり暴れてナンボだよねぇ、オレらは。全員で掛かって来い!!全員で掛かって来いっ!!!!」

 さらなる煽りでスピードナンバー「SLUDGY CULT」からのラストスパートは「UGLY」「BLEMISH」と畳み掛け、「UNDYING」の壮大でシンフォニックな響きを以って本編は終了した。

 「今日は、良いとか悪いとかじゃなくて、ヤバイ」アンコールに応え、ドラムセットに座った戒がそう語るとマーチングドラムのリズムを刻みだし、後方に“the GazettE“のバックドロップが掲げられる。ヘヴィでグラマラスなナンバー「INSIDE BEAST」だ。

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「ホールツアーも合わせると相当なツアーをやってきまして。今日、セミファイナルということで、無事に廻れたことに感謝しています」RUKIが穏やかに口を開いた。

「あと幕張1本やったらしばらく会えなくなってしまうという……、まぁ、フェスとかはあるんですけど。お前ら来るの? いつもアウェイなところに行くんで、みなさんが来てくれたほうが心強いんでね。とはいえ、すっげぇアウェイのほうが自分ら的には盛り上がるという。みんなはthe GazettEの曲を知ってくれてるけど、まったく知らない人の中でやったら、オレらの力量はどんなものかと」

 何かと偏見も多いヴィジュアル系ロックバンド。とくに海外アーティストを主とする国内フェス/イベントでは、歓迎されるとは言い難いのは今も昔も変わらない。そんな中で、the GazettEはSUMMER SONIC、LOUD PARK……、これまでもさまざまなフェスに出演し、観る者を音で捩じ伏せてきた。今年はSlipknot主催の『KNOTFEST JAPAN 2016』への出演も決定している。海外におけるthe GazettEの人気は“Visual-kei” “V-ROCK”といった枠では収めきることが出来ないところまで来ているのだ。

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 メンバーとともに会場全員頭を振り乱した「DISCHARGE」、至るところでモッシュとダイブの嵐が巻き起こった「TOMORROW NEVER DIES」で、全編終了した……かに思えた。しかし、客電が点き、終演のアナウンスが流れても、誰一人フロアから出ようとはしない。再び捲き起こるアンコールの声。ステージに三たび現れたダブルアンコール、RUKIの「地獄へようこそ!!」の一声ではじまったのは「関東土下座組合」だ。ステージ上のメンバーもオーディエンスも最後の最後、渾身の盛り上がりを見せた。

「お前ら、超最高!!」RUKIがステージ上のありったけのペットボトルをフロアに投げ、この日の漆黒の宴は終演した。

 この1年かけて行われた<DOGMA>は9月27日の幕張メッセにて、ついにグランドフィナーレを迎える。規格外のフリーライブ、そんな場所でthe GazettEは一体何を見せようとしているのか。

(写真=山内洋枝 (Hiroe Yamauchi)<PROGRESS-M>)

■冬将軍
音楽専門学校での新人開発、音楽事務所で制作ディレクター、A&R、マネジメント、レーベル運営などを経る。ブログtwitter

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