the GazettEが見せたライブバンドの凄みと矜持 “漆黒”のファイナル公演レポート

the GazettE、代々木「漆黒」レポ

 the GazettEが2月28日、2015年9月から全国を回った『LIVE TOUR 15-16 DOGMATIC』のファイナル公演を行なった。舞台は、8年ぶりとなる国立代々木競技場第一体育館――「漆黒」というコンセプトに合わせ、客席も黒で埋め尽くされたライブをレポートする。

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 約1万人のオーディエンスで超満員となった会場。ハードかつトランシーなインストゥルメンタル「NIHIL」とともに、ステージ上の大スクリーンにコンセプチュアルな映像が流れる。緊張感が高まるなか、「DOGMA」のイントロがスタート――客席内に設置された4つのステージから光が立ち上り、そこからメンバーが登場するというサプライズ演出で、会場は歓喜に包まれた。

 メインステージからは戒(Dr.)の躍動的なドラムが響き、客席内の各ステージでは麗(Gt.)と葵(Gt.)のソリッドで扇情的なギターが完璧に融合、REITA(Ba.)のうねるベースがダークな世界観をまとめ上げていく。そして、妖しく抑制的な冒頭から、一気に感情を爆発させるRUKI(Vo.)の鋭いボーカル。1曲目からライブバンドとしての凄みを見せつけると、続く「RAGE」で、オーディエンスは全力のヘッドバンギングでそれに応えた。

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RUKI(Vo.)

 the GazettEのライブといえば、RUKIの飄々としながら、煽りの利いたMCも魅力だ。この日の第一声は「聞いてくれよ。マイクが入っていなくて、冷汗かいた」。緻密に構築された世界観のなか、緊張感が漂う会場に笑いがこぼれたのも束の間、「初めて来たヤツも遠慮すんな」「楽しもうぜ代々木!」と、RUKIはさらにボルテージを上げていく。5曲目には<PAIN-GRUDGE-SORROW-FURY DELETE-HEADACHE-HANG UP-DIZZY>と耳に馴染んだフレーズが響き、5thアルバム『TOXIC』から「VENOMOUS SPIDER'S WEB」が披露されると、大歓声とともに会場が揺れた。静謐さを感じる「DERACINE」から、ドラムの反響を残しながら「GRUDGE」につなぐなど、観客の感情を激しく揺さぶるステージが展開されていく。

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葵(Gt.)

 ライブ中盤から後半にかけても、the GazettEはまったくその手を緩めない。「とことんお前らのこと壊して帰るから、覚悟しとけよ!」「楽しむことだけ考えろ! ヤバいお前らを見せてくれ!」――そんな言葉とともに、「PARALYSIS」「LUCY」「INCUBUS」、そして「UGLY」と、ハード/ハイスピードなナンバーが続いた。本編のラストを飾ったのは、4月27日にリリースが決定した新曲「UNDYING」。感動的な余韻を残し、メンバーは立ち上る煙の中に消えていった。

 万雷のアンコールに応えて再びステージに姿を現したメンバーのなかで、口を開いたのは戒だった。「ここから見える景色は最高です。the GazettEというバンドを誇りに思う」と語ると、そこからマイクを通さず「かかってこいよ!」と絶叫し、「INSIDE BEAST」がスタート。スクリーンにはMVも映し出され、会場は大いに湧いた。

 続く「VERMIN」では「Fall! down!」のコールが鳴り響き、盛り上がりは絶頂に。そんなオーディエンスに、RUKIは「(代々木体育館に)初めて出たときより、皆さんを近くに感じます。言ってもないのに、服装が真っ黒で……そんなお前らを愛してるよ。誰よりも暴れ狂う、お前らみたいな大バカやろうが大好きだ!」と叫び、「COCKROACH」「ATTITUDE」「TOMORROW NEVER DIES」と、ヘドバン&ジャンプの嵐を巻き起こした。

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戒(Dr.)

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