バンドじゃないもん!がついに掴み取った成功 豊洲PIT公演を機にグループの歴史を振り返る

バンもん!がついに掴み取った成功

 豊洲の空にかかった虹をくぐって豊洲PITへたどりつくと、そこではたくさんの人々が建物を取り囲んでいた。それは、バンドじゃないもん!によるツアー『バンドじゃないもん!全国ツアー2016 〜てっぺん目指そうぜ!武者修行編〜』のファイナル公演が豊洲PITで開催された2016年7月31日のことだ。

 この日のライブは、「エクストリームはっぴー」を掲げてきたバンドじゃないもん!が、活動における喜怒哀楽のすべてを笑顔のまま吸収して、完全にひとつ上のステージへとのぼったライブだった。

 バンドじゃないもん!にとっては、オールスタンディングの会場として豊洲PITは過去最大のキャパシティ。2016年1月から約30公演を行なってきた『バンドじゃないもん!全国ツアー2016 〜てっぺん目指そうぜ!武者修行編〜』が最後にたどりついた場所だ。

 会場に入ると、花道が飛び出した凸型のステージをもんスター(バンドじゃないもん!のファンの総称)がぐるりと囲み、その両脇にリフトをしても良いゾーンが設置されていた。この日は、フロアをいくつかのゾーンにわけて、それぞれを温泉に見立てた、バーチャル温泉という趣向だった。

 開演と同時に、三味線の音色の鳴る楽曲が響き、メンバーカラーの6色のライトが回転。「OVERTURE」と映像が流される中、メンバーがひとりずつステージに登場した。

 1曲目の「キメマスター!」は、バンドじゃないもん!が2016年5月に2度目のメジャー・デビューをしたときのシングル。バンドじゃないもん!は、過去に1度メジャー・デビューしたもののインディーズとなり、現在の6人体制で活動を続けて、再びメジャー・デビューのチャンスをつかんだという経緯がある。

 「キメマスター!」では、鈴姫みさこがドラム、望月みゆがベース、甘夏ゆずがキーボードを演奏し、ドラムセットの台の上に七星ぐみがのぼる姿も印象的だった。全力での幕開けだ。

 続く「雪降る夜にキスして」では、「まわるまわるミラーボール」という歌詞に連動して、会場のミラーボールが輝きながら回転した。そのミラーボールの下で鈴姫みさこが叩くドラム・ソロは、早すぎるピークタイムだった。しかも、会場には5面ものモニターがあり、鈴姫みさこのドラム脇のカメラが彼女のドラム・プレイをも見せてくれたのだ。

 曲名の通り1980年代〜1990年代のレイヴ・シーンを連想させる「RAVE RAVE RAVE」では、モニターがVJに早変わり。メンバーが扇を振り回す中、スモークが吹きあがった。

 「パヒパヒ」から「タカトコタン-Forever-」への流れは、いわゆる「暴れ曲」続き。「タカトコタン-Forever-」を作詞作曲したのは、BABYMETALへも楽曲提供しているゆよゆっぺだ。「タカトコタン-Forever-」では、ベースを抱えたままヘッドバンギングをする望月みゆの姿も5面のモニターが映し出していた。

 その「タカトコタン-Forever-」が終わってもリズムが止まらずに鳴り続け、「ツナガル!カナデル!MUSIC」へ。バンドじゃないもん!が現在の6人体制になって始めてリリースしたシングルだ。バンドじゃないもん!の最初期から楽曲を提供し続けるミナミトモヤが作曲した楽曲で、彼によるメンバーの歌のパート割りも、それぞれの声質やキャラクターを押さえた完璧なものだ。

 その後、突然始まったショートコントは、バンドじゃないもん!が鈴姫みさこ(当時の表記は『みさこ』)とかっちゃん(金子沙織)の2人体制だった時代から続いている「伝統芸」だ。しかも、この日はなんと約20分に及び、もはや「ショート」ではなく「コント」そのものだった。「どこに着地するんだろう……」と見ながら不安になる気持ちも含めて、バンドじゃないもん!らしいコントだった。

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 以降は、グループ内ユニット3連発。鈴姫みさこと甘夏ゆずによる「コットンラビッツ」は、アメリカン・ロックな「ヒーローズ」を披露した。この楽曲は、作詞が鈴姫みさこ(作詞は『みさこ』名義)、作曲が甘夏ゆず。マルチプレイヤーである甘夏ゆずのギターのうまさにも驚いた。

 恋汐りんごと望月みゆによる「Chou Chou Cream」は、「アイスクリームになりたいの♡」を歌った。このキャッチーなテクノポップは、作詞作曲編曲をPandaBoYが担当している。

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 七星ぐみと天照大桃子による「ブルーツインズ」が歌ったのは、アーバンギャルドの松永天馬が作詞作曲し、アーバンギャルドが編曲した「シンデレラブルース」。アンニュイさが魅力的なテクノポップだ。天照大桃子はヴォーカルの強力さを武器にバンドじゃないもん!に加入したが、彼女とともに歌う七星ぐみのヴォーカルもうまくなったことを、この日のライブで感じていた。

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