バンドじゃないもん!がついに掴み取った成功 豊洲PIT公演を機にグループの歴史を振り返る

バンもん!がついに掴み取った成功

 最後の最後は「HAPPY TOUR」。アカシックの奥脇達也が作曲、MOSAIC.WAVが編曲した楽曲だ。そして、花びらの形の紙吹雪が舞ってきた。この日は、バンドじゃないもん!のワンマンライブの中でも、もっとも演出が凝っていたライブだった。終演後にエンディングロールまで流れていたほどだ。

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 この日、私が会場に入るときに、バンドじゃないもん!が所属するパーフェクトミュージックの代表取締役である成田光春から声をかけられた。彼は「本屋ナイトからここまで来ました」と笑った。2012年9月8日に吉祥寺CLUB SEATAで開催された『本屋ナイト』にバンドじゃないもん!が出演したとき、チェキの値段すら決まってなかったことを思い出す。チェキの列に並ぼうとしたら、成田光春に「いくらがいいと思いますか?」と聞かれたような、牧歌的な時代だったのだ。あれからもう4年の歳月が流れていた。

 そして、この日の前夜の天照大桃子のツイートも印象的だった。「2016年の好きなところは、やめなかった人達が続々と上がってるところ! 継続は力なりなんて言うけど、やめないことって今の時代すごい大変だし、決して正義でもない」。そうツイートした彼女自身が、2014年の加入から2年、バンドじゃないもん!をやめることなく、上にあがったのだ。あのときの天照大桃子と甘夏ゆずの加入は、それまでのメンバーにも大きな刺激を与えたであろうし、そうした切磋琢磨によってメンバーが伸び続けてきた面も確実にあるのだろう。

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 バンドじゃないもん!はこの豊洲PITに向けて、新宿MARZから豊洲PITまでもんスターと歩く『バンもんGO』を7月23日に開催したり、連日ツイキャスを配信したりと、泥臭いまでに動員のための努力を続け、そして成功をつかんだ。それは、この5年間バンドじゃないもん!を続けてきた鈴姫みさこの揺るぎない信念が生み出した成功でもあったし、メンバーたちがバンドじゃないもん!をめぐる状況に臆することなく活動してきたからこそつかめた成功でもあった。

 大団円を迎えたような気持ちになるのはまだまだ早い。けれど、豊洲PITでのワンマンの成功の余韻をしばらくは味わっていたくなるようなライブだった。次はバンドじゃないもん!がどんな光景を見せてくれるのだろうか、と楽しみにしながら。

(撮影:ハヤシサトル)

■宗像明将
1972年生まれ。「MUSIC MAGAZINE」「レコード・コレクターズ」などで、はっぴいえんど以降の日本のロックやポップス、ビーチ・ボーイズの流れをくむ欧米のロックやポップス、ワールドミュージックや民俗音楽について執筆する音楽評論家。近年は時流に押され、趣味の範囲にしておきたかったアイドルに関しての原稿執筆も多い。Twitter

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