DJ'TEKINA//SOMETHINGが語る、アイドル×EDMの可能性「新しいジャンルが生まれる」

DJ'TEKINA//SOMETHINGが語る“アイドル×EDM”

 エモ/スクリーモ/ラウド系をボカロシーンに取り入れたオリジネイターであり、バンド活動も並行して行なう“ゆよゆっぺ”の別人格DJプロジェクト、DJ'TEKINA//SOMETHING。彼が女性グループによる楽曲の数々をEDM風にアレンジした最新リミックス・アルバム、『KAWA-EDM』を完成させた。

 BABYMETAL、でんぱ組.inc、SPEED、SUPER☆GiRLS、東京女子流、BiS、Whiteberryなどを筆頭に目を引く豪華なラインナップは、ゆよゆっぺ名義を含む活動の中でBABYMETAL、でんぱ組.inc、SPEEDの島袋寛子と今井絵理子によるERIHIROなどの作品に関わり、プロデューサー/リミキサーとしても評価を獲得してきた近年の彼ならでは。原曲のよさを生かすことに主眼を置きつつも、四つ打ちEDMからダブステップ、ドラムンベース、清涼感のあるエレクトロ・チューン、果てはトラップに至るまで様々なジャンルを横断し、そこから一貫して“楽しさ”を切り出すことで、彼らしいエクストリームなポップ・ミュージックが、次々に飛び出してくるような雰囲気が生まれている。

 今回は全収録曲とその制作作業を音楽的に解説してもらうことで、「ジャンルやスタイルを問わず、『いいものはいい』」と語る彼の音楽観に迫ってみた。(杉山仁)

「EDMに可能性を感じた」

――DJ'TEKINA//SOMETHINGという名義を始めた頃は、まだクラブ・ミュージックのマナーもよく分かっていない状態だったそうですね。それから活動を続けてきた今、EDMにはどんな魅力を感じるようになりましたか?

DJ'TEKINA//SOMETHING(以下テキサム):最初は「EDMとは何ぞや?」というところから始まったのですが、やり続けてみて思ったのは「別に何でもいいんじゃない?」ということで。どんな音になってもどんな系統になっても、やっぱり「いいものはいい」ということを、前面に打ち出そうと感じるようになりました。EDMって「人がどういうタイミングで踊れば楽しくなるか」を考えて作られた音楽であり、人間の楽しさを全開にするスイッチを押せるものとして、可能性を感じたんです。あと、私生活も変わりましたね。変なストイックさではなくて、「楽しくなるためにはどうすればいいか」ということをストイックに考えるようになったというか。

――クラブ・ミュージックの「ユナイト」の精神を知ったということですね。

テキサム:まさにそう(笑)。それを発見したんですよ。

――DJ'TEKINA//SOMETHINGとして出演したイベントの中で印象に残っているのは?

テキサム:『ROCK IN JAPAN FES.』と、アメリカのアトランタで行なわれたコンベンションへの出演ですね。この2つは対極で、『ROCK IN JAPAN FES.』は普段クラブに行かないロックリスナーに向けてのDJ、アメリカの方はいわゆるクラブナイトとして自分のスキルを試される機会でした。でもそこで得た結論は、自分がいかに最大限のパフォーマンスをするかが大事かということで。

――自分自身がどんなDJなのかを考えていく作業になったわけですね。

テキサム:ましてや僕の名義は「DJ'TEKINA//SOMETHING(DJ的な何か)」なので、純粋なDJではないんです。アーティストとして出演して、DJという形態でいかにお客さんに知ってもらえるかを考えるというか。だから、2つのイベントはまったく違うタイプですけど、結局得た答えは一緒でした。いかに正直な自分をさらけ出していくかを念頭にやっていくかが大切だと分かったんです。

――このアルバムを前にして、BABYMETALさんの楽曲を筆頭にリミックスを担当することも増えました。そうした作業の中で気づいたことはありましたか。

テキサム:DJであることと、リミックスをやるということは、またちょっと違うんですよ。リミックスはもっとクリエイター的な作業になってくるというか。そこで感じたのは、「日本のアイドルっていいな」ということでした。

――ああ、それが今回の作品に繋がってくるわけですね。

テキサム:そうですね。ゆよゆっぺという人格の方でも色んなアイドルの方とお仕事させていただく機会が増えていますけど、それまで僕はアイドルがどういうものか全然分かっていなかったんです。でもいざ現場を体験してみると、コールもあってケチャもあって「何て楽しいんだ!」と。そんな時に、「アイドルのリミックスをするのはどう?」という話が出て、「いいじゃないですか」と思ったんです。もともとEDMは「楽しい」の極限にあるものであり、アイドルも形は違えど同じ楽しいの極限にあるもので、なおかつ「可愛い」。だから、「『可愛い×かっこいい+楽しい×楽しい=最強』じゃん!」って。

――収録曲を選ぶ時、どんなことを意識しましたか?

テキサム:最初に念頭に置いたのは、僕が少しでも関わらせていただいていて「会ったことがある人」ということですね。でんぱ組.incだと最上もがさんと同じイベントに出たことがあったし、BABYMETALのみんなも何度かお会いしているし。ウェザーガールズの人たちも台湾で会って直接話したりして。そういう人のトラックを優先して選んでいったんです。

――相手がどんな人なのかを理解してリミックスを作りたい?

テキサム:そうです。たとえばレポートをひとつ作るとして、直接お話ししながら作るのと、電話越しに話して制作するのとでは、明らかに出来るものが違うと思うんですよ。それと同じで、僕は向こうのことを知っているし、向こうももしかしたら僕のことを知ってくれているかもしれない。その上でリミックスを作った方が、絶対にいいものが作れると思ったんです。

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