GOODWARP『FOCUS』リリース特別企画
渡辺俊美×GOODWARPが語り合う、世代を超えた音楽観「心地よいダンスミュージックは“抜き”の世界」
「リアルタイムで聴いていたダンスミュージックは、ジャミロクワイ」(吉崎)
ーー最近、どんな音楽に刺激を受けてますか?
渡辺:個人的に最近はディスコばっかり聴いてますけどね。今ディスコブームが来てて。時代的には、70年代から80年代。81年の曲が1番好きなんですよ。切磋琢磨してる本格的なディスコ、チャカ・カーンとかそうですよね。売れてないアルバムでもすごくかっこいい。持論として「81年に駄盤はない」というのがあって。それをもう一回掘り下げてます。ディスコだとチャラい感じの音がいっぱい録れていて、それがどんどん抜けてきている感じが80年代なんですよ。歌勝負だったりメロディー勝負だったり。ファレル(・ウィリアムス)とか、変な言い方だけど今の時代にあんなに売れると思ってなかったんだよね。昨年、一昨年あたりから、ある種世界的にディスコ・ミュージックが回顧しているわけで。だから聴き直してみてます。また掘り返していくと、ヨーロッパの変なディスコの曲とかあるんですよね。曲は全然なんだけど、PVが面白かったりして。超ダサいんだけど、古いけど今っぽい感じ。今度教えるね。
吉崎:ありがとうございます!是非教えてください。イタリアとか英語圏ではない国の音楽ということですよね?
渡辺:そうそう。曲はしょうもないですよ。でもそういう皆が忘れているような音楽を掘っていくと、新しいものが生まれるかもしれないと。絶対今売れないという曲も、自分たち流に消化してやったらすごくフレッシュになるかもしれないし。今の視点で改めてやってみるということですね。やっぱり80年代だね。新しいものって古いものから生まれると思うんですよ。いきなり新しいものって生まれないと思うんで。
吉崎:渡辺さんは当時の音楽をリアルタイムで聴かれてたんですか?
渡辺:僕には姉が3人いて、1番上の姉さんがすごくディスコが好きで。高校の不良の彼氏とか連れて来てディスコで踊ってたりしてたんですよ。チャカ・カーンも姉さんの影響で、小学校4年生の頃から聴いてたんです。その姉さんの不良の彼氏がハードロック好きで、僕のことを凄く見ながらギター弾くの。だから目を離したくても離せなくて。それが苦痛だった(笑)。ああいうギタリストにはなりたくないと思ったね。
一同:ははははは。
――GOODWARPのみなさんも昔の音楽は聴きます?
吉崎:僕結構好きですね。僕がリアルタイムで聴いていたダンスミュージックは、ジャミロクワイ。70年代、80年代のディスコも結構聴いてきたんですけど、昔の音楽という認識なので逆にちょっと新鮮な気持ちで聴いていましたね。
渡辺:ジャミロクワイ、久しぶりに聴いてみたいわ。あのスタイリッシュな感じがいいよね。ビートルズみたいなロックバンドってずっと変わらないじゃない。何十年分も凝縮されているというか。パンクもそう。でも、ダンスミュージックって未来があると思うんだよね。だから俺はソウルセットもやりたいし、弾き語りもやりたい。両方やりたいのはそういうところがあるからかもしれない。すごくコンシャスというか、そこにまた抜きの美学があるんですよね。生活でも何でもそうですけど、断捨離みたいな。一回捨てていくと何か見えてくるんですよね。ところで、ギターは何を使っているの?
吉崎:僕は今フェンダーのスターキャスターを使ってて、僕が主にバッキングを弾いてます。コード弾きとちょっとしたカッティングをやっています。
渡辺:フェンダーの人が辞めてミュージックマンになったんですよ。だから(スターキャスターは)最後の作品なんだよね。いいねぇ。
藤田:僕はテレキャスターを使ってます。元々はレスポールが好きなんですけど。カッティングが多いんでテレキャスターかなと思って。
渡辺:これは間違いないですよ(笑)。
――俊美さんからお墨つきが。
チャー・有安・吉崎・藤田:いいですねぇ。
渡辺:ギター1つで全然音は変わりますよね。あとはリズム隊がばっちりってことでいいですよね?
有安・チャー:はははは。
吉崎:ばっちりですかね。
渡辺:やっぱり重要な要素だし、体力いるからね。
有安:それが僕、体力ないんです。ちょうど筋トレかボクシングでもしようかと思って。
渡辺:ボクシングはいいかもね。タイミングがスネアとかハットと一緒かもしれない。打ち出す感じとか。バンドもスポーツも一緒なんだけど、全て呼吸だと思うんだよね。僕、小学校から大学までずっと剣道部で、中学高校って先生がいなかったんだけど、インターハイと国体行ってるのね。独学で呼吸法を身に付けたの。自分で本を読んで勉強したんですよ。
吉崎:すごいですね。中学高校で呼吸法まで辿り着いてたんですか?
渡辺:辿り着いた(笑)。人間は目を閉じている時は攻撃できないとか、息を吸っている時は攻撃できないとか。だから相手が吸った時に打てば絶対勝てるって。
一同:へぇーーーーー。なるほど。
渡辺:だから呼吸は大事だし、音楽にもそれは活きると思う。ボーカルもそうだけど、弾き語りを始めたら声が出るようになったのも、そういうこと。
吉崎:弾き語りをし始めたら声が出るようになったんですか?
渡辺:出るようになった。それまでは、呼吸を全然無視していたの。適当にっていうとあれだけど全然意識してなかったね。でも部活のときのことを思い出して呼吸を意識したら、どんどん声量が出るようになった。THE BLUE HEARTSの(甲本)ヒロト君はブルースハープをやるようになってから声が出るようになったって言ってたよ。腹式呼吸だからね。だからドラムも、多分意識を少し変えるだけでも体力つくんじゃないかな。