三戸なつめは“一度見たら忘れられない” 多彩な表現活動からその理由を探る
2015年、三戸なつめは多くのテレビ番組で出演して話題をふりまいた。筆者が特に印象に残っているのは、『櫻井有吉アブナイ夜会』にて、有吉弘行が彼女の風貌を見て「俺にだけ見えてるんじゃないよね?」と、“座敷童子”を連想させるツッコミを入れ、彼女が笑顔で応じた場面だ。彼女はほかにも、『SMAP☓SMAP』や『踊る!さんま御殿』『ダウンタウンDX』など幅広いバラエティ番組、さらには『めざましテレビ』や『ZIP!』『PON!』などといった朝の情報系番組、『MUSIC JAPAN』『バズリズム』といった番組に登場し、“一度見たら忘れられない”存在感を発揮した。
“一度見たら忘れられない”理由のひとつは、中学生の頃に間違えて切りすぎたというその特徴的な前髪だろう。“オン眉”とも称され、人気モデル1位に選ばれるほどの彼女のヘアスタイルはたちまち多くの支持を得ることになる。そして、風貌を突っ込まれても、関西弁で明るく切り返すキャラクターも、彼女の持ち味の一つだ。
そのポップな個性は音楽ジャンルでも発揮されている。特徴的な髪型をフィーチャーしたメジャーデビューシングル『前髪切りすぎた』にて2015年4月、モデル業と並行して歌手活動を開始。中田ヤスタカ(CAPSULE)の全面プロデュースで作成された「前髪切りすぎた」は、<前髪を切りすぎた 前髪を切りすぎた>というキャッチーな歌詞に、(ちょきちょき)という相の手が入る、一度聴いたら忘れることのない強烈なインパクトを残す楽曲だ。同曲は、11本ものMVが作られ、その中の藤井亮監督による「落書き篇」の可愛らしくも彼女の独特なクリエィティブな一面は、ACC FILM FESTIVAL 2015 インタラクティブ部門の「審査員特別賞〜イラストレーション賞〜」を受賞するほどであった。
その勢いのまま、今夏開催された『JOIN ALIVE 2015』『ROCKIN’ ON JAPAN 2015』など大型音楽フェスにも多数出演し、同時期にリリースした「わたしをフェスに連れてって」を各地で披露。秋には、映画『ピクセル』のコンセプトをそのまま楽曲にしたような表題曲『8ビットボーイ』をリリースした。CDジャケットでは、“8ビットカツラ”を被り、またしても強烈なインパクトを与えた。MVでは、前作に引き続き(伊勢田勝行監督による)アニメ『8ビットボーイ-王子様篇-』が公開されていたが、今回新たに『8ビットボーイ-三戸マス目篇-』が解禁となった。映像はこれまでの彼女のMVと同様シュールな世界観の内容をみることができる。同作は、「8ビット ボーイ」のMVを手掛けた映像クリエイターチーム「動いた。」が担当。「動いた。」は、『Yahoo Internet Creative Award一般部門』でグランプリを獲得している。