太田省一『ジャニーズとテレビ史』第四回:関西出身ジャニーズ冠番組
KinKi Kids、関ジャニ∞、ジャニーズWESTーー関西出身ジャニーズの“自然体な魅力”を読み解く
その本領が発揮されていたのが、1996年から2001年まで放送されていた『LOVE LOVE あいしてる』(フジテレビ系)だろう。
そこでキンキは、吉田拓郎や篠原ともえといった異分野の人たちと共演した。特に「テレビに出ない」ことで有名だった吉田拓郎が番組になじむことができたのも、キンキの笑いを絡めた自然体のコミュニケーションの力による面は大きかった。また番組のために組まれたバンドLOVE LOVE ALL STARSをバックにしたセッション的な演奏や番組中で吉田拓郎や坂崎幸之助から二人がギターを教わっていく姿にも、そうした雰囲気が反映されていた。その後2001年に始まった『堂本兄弟』(2004年からは『新堂本兄弟』)でも、共演するメンバーは変わったが、そんな自然体の良さは引き継がれていた。
そして2014年10月からスタートした『ブンブブーン』は、スタジオ収録だったそれらの番組とは打って変わったロケ番組である。しかし、二人の自然体の魅力を引き出すには、ロケというスタイルがより有効な面もあるだろう。ゲストとともに居酒屋や定食屋に行ったり、堂本光一が自ら運転してドライブしたり、といった私たち視聴者にとってもよくある日常的なシチュエーションで、他のグルメ番組や旅番組でありがちなようにハイテンションになるわけでもなく、ごく自然に振る舞う姿はいかにもキンキらしいものだ。
こうしてキンキの切り開いた「自然体のジャニーズ」の世界をさらに発展させようとしているように見えるのが、関ジャニである。グループ内ユニットとして漫才コンビがあるところなども、そうした印象を強くさせる。
関西ジャニーズJr.のメンバーであった関ジャニは、Jr.時代から関西ローカルのバラエティ番組に数多く出演してきている。それと並行して東京キー局の制作するバラエティにも進出、最近では『関ジャニの仕分け∞』(テレビ朝日系)などがまだ記憶に新しい。また最近はドラマやMCなど個々での活躍にもますます目覚ましいものがある。