KinKi Kids、関ジャニ∞、ジャニーズWESTーー関西出身ジャニーズの“自然体な魅力”を読み解く

 そうしたなか、今年2015年の5月に始まったのが『クロニクル』である。ゲームやロケ、個々のメンバーをフィーチャーしたものなどさまざまな企画で構成されているが、キンキの『ブンブブーン』と比べてみた場合、メンバーが7名と人数が多いところから醸し出される和気藹々とした賑やかさ、いわゆる“わちゃわちゃ感”が見えやすいのが特徴だろう。

 例えば、番組の定番企画になっている「いきなりドッジ」は、7人がマンションの一室を模したセットに集まっているところにいきなり上からボールが落ちてきて、その場でドッジボールが始まるというもの。ボールを持って当てる側になったときの様子や逆にボールを当てられまいとあれこれ策を凝らす様子に、各メンバーのキャラクターがにじみ出るだけでなく、グループの仲の良さも自然に伝わってくる名企画である。

 また『クロニクル』とほぼ同時に始まった『関ジャム 完全燃SHOW』(テレビ朝日系)では、音楽面での自然体な部分が受け継がれている。毎回ミュージシャンをゲストに招いてトークと歌を聞かせるこの番組、歌のコーナーでは、関ジャニのメンバーが楽器やコーラスなどを担当し、ゲストの持ち歌をオリジナルアレンジで披露する。つまり、『LOVE LOVE あいしてる』や『堂本兄弟』と同様、セッションのスタイルでの共演である。

 さらに関西出身のジャニーズの系譜は、続こうとしている。関ジャニ同様関西ジャニーズJr.出身者からなる7人組のジャニーズWEST。2014年デビューの彼らは、関西弁を前面に出したデビュー曲『ええじゃないか』の通り、はっちゃけ感を加味した自然体の魅力を感じさせる。テレビ出演も増え、彼らがメインとなったバラエティ『ドヨルの妄想族』(朝日放送)もこの10月まで放送され、まもなく『ドヨルの粉モンクエスト』(朝日放送)が始まる予定だ。これらは関西ローカルのため今のところ見られる視聴者は限られているが、『ザ少年倶楽部』(NHK BSプレミアム)のトークなどでは、すでに関西出身ジャニーズらしい片鱗を発揮している。

 「自然体のジャニーズ」という新たなあり方を開拓してきた関西出身のジャニーズグループたち。彼らはすっかり、独自のポジションを確立したと言ってよいだろう。

■太田省一
1960年生まれ。社会学者。テレビとその周辺(アイドル、お笑いなど)に関することが現在の主な執筆テーマ。著書に『中居正広という生き方』『社会は笑う・増補版』(以上、青弓社)、『紅白歌合戦と日本人』『アイドル進化論』(以上、筑摩書房)。WEBRONZAにて「ネット動画の風景」を連載中。

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