Mr.Childrenの対バンツアーに期待すること 枯れることのない“未完の大器”はどこに向かう?
桜井は、Mr.Childrenのオフィシャルファンクラブ『FATHER & MOTHER』のブログで、楽しみなライブであるが少数の人にしか参加してもらえないもどかしさと、それぞれのアーティストと対バン出来ることに“ミスチルをやっていてよかった”と思っていること、そしてライブ後には変化したMr.Childrenをまた披露する、とライブへの意気込みを語っている。Mr.Childrenは2014年9月からZeppを回るFC会員を対象とした『Mr.ChildrenFATHER&MOTHER21周年祭 ファンクラブツアー』、2015年3月からは全国のアリーナ会場を回る『Mr.Children TOUR 2015REFLECTION』、アリーナツアー最終公演の日に全23曲入りUSBアルバムBOX仕様『REFLECTION{Naked}』とその中から厳選された14曲入りCD『REFLECTION{Drip}』をリリースし、スタジアムツアー『Mr.Children Stadium Tour 2015 未完』を開催、と異例のリリースとツアーの連続であった。それは、4人のMr.Childrenとしてリスタートを果たすアルバム・ツアーであり、シーンのど真ん中にMr.Childrenが再び戻ってきたと言えるアプローチであっただろう。
Mr.Children『FATHER & MOTHER』 No.70(FC会報誌)で桜井は、今までに携わって来なかったツアーのSEの作曲を担当し、大変であったが喜びを見出したことも明かしている。Mr.Childrenは、かつてのいわばルーティーンの曲作りから新しいモードに入っている。桜井だけでなく、ドラムの鈴木英哉は、『Mr.Children Stadium Tour 2015未完 official』のパンフレットで、「ツアーが終わって、またすぐ次のツアーだけど、みんな最近、休みが好きじゃないみたい。いったん完全に切ってしまうと、“よっこいしょ”ってオンにするのが大変というか、そこでより多くのエネルギーが必要になってしまうから、ギアを入れ変えるとかじゃなく、そのまま平行移動していってる感覚が続いているというか……。前だったらレコーディング中にZeppでファンクラブツアーをやったりアルバムを出さずにツアーやるなんてこと、考えられなかった。ちょっと前なら「嫌っ」て言ってたことが、今では「やりたいこと」に変わった」とバンドの変化について語っている。
アルバム『REFLECTION』のツアーは、FCツアーを入れれば実に3度も開催しているが、「ROLLIN’ROLLING〜一見は百聞に如かず」「街の風景」「You make me happy」「Jewelry」「遠くへと」など披露していない曲もまだまだ多い。桜井は、『Mr.Children Stadium Tour 2015未完 official』のパンフレット内で、「僕は色々なジャンルの音楽に興味があるから、さらに別のトライをしてみたい気持ちもあるんですよ。ただ、今回は23曲入りのアルバムを出しましたけど、次も同じようにするというわけじゃなく、もしその時、「6曲入りがベストじゃん」って思ったら、きっとそうするんじゃないかな?」と話し、アルバム『REFLECTION』のライナーノーツでは「全部出し尽くしたつもりだったんですけど。(抜粋)でも、実はこないだ仲のいいあるミュージシャンから“いいメロディが出来たので歌詞を書いてくれないか”と頼まれまして、それでAメロの部分だけさっき考えてたんです。そしたらこの{Naked}で全部出し尽くしたつもりだったのが、“あれ……? まだ出来るかも!”ってなりまして……。そんなところからもまた、次が始まっていくのかもしれませんけど」と次作を思い描かせる発言をしている。対バンツアーで未披露曲に加え、新曲を披露、なんてことも今のミスチルには期待したくなるのだ。
枯れることのない“未完の大器“であるミスチルが今回のツアーを経て、またどのように変化していくのか楽しみである。
(文=渡辺彰浩)