「宗像明将の現場批評〜Particular Sight Seeing」第20回『全日本テルミンフェス』
ラーメンズ・片桐仁からウサビッチまでーーザ・プーチンズ主催『全日本テルミンフェス』をレポート
濱田佳奈子によるテルミン公開レッスンでは、天井に頭をぶつけつつウサビッチの「プーチン」が生徒として現れた。着ぐるみの手なのに、いきなり音階を練習させられ、さらに楽曲の演奏までこなした。ウサビッチの中に入っているのは街角マチコなのではないか……と邪推したほどだ。
そして、日本を代表するテルミン奏者である竹内正実のステージ。フロアにもテルミン愛好家が集まり、登場前から驚くほどの熱気を感じさせた。この日はテルミン合奏として、まず2台のテルミンとキーボードにより演奏が行われた。1曲ごとに奏者たちが深く一礼すると、テルミン奏者は次第に増えていき、テルミンのハーモニーはさらに厚くなっていく。最終的には、計6台に増えたテルミンとキーボードが演奏。格調高くも、テルミン独特の音の揺らぎは聴く者の心を穏やかにさせないものがあった。またMCでは、佐藤沙恵が主宰するテルミン教室「テルミン大学」のテーマが重奏ということで、10人ほどで一斉に同じMCを言うというユーモラスな演出もあった。
藤岡みなみ&ザ・モローンズは、ヒロヒロヤのシンセベースを街角マチオが絶賛する推薦文が読みあげられてからスタート。藤岡みなみを含むギター2人、シンセベース、ドラムという4人編成によるステージだ。ガレージ・パンクすら連想させるネロのギターも刺激的だった。そしてコーラスワークも安定している。ギターをおろしてハンドマイクのみでラップをする藤岡みなみもキュートだ。MCでは藤岡みなみが、世界で一番日本にテルミン奏者が多いことに触れつつ、「なんで(このフェスに)呼ばれたんだろうね?」と話す。そして、テルミンがないともう限界だということで、藤岡みなみがステージ上に置かれていた「スーパー電波くん人形」を手に。「スーパー電波くん人形」とは、テルミンがいないバンドでもテルミン奏者を呼べるという人形だ。すると、銀のマントをはおったテルミン奏者・クリテツが登場。藤岡みなみ&ザ・モローンズの演奏に、クリテツによるテルミンのソロも入ることになった。さらに藤岡みなみがテルミンを演奏するシーンも。最終的にクリテツとは3曲も共演した。
大トリのザ・プーチンズの前のDJは、谷地村啓が担当。ザ・プーチンズの配信シングル「恋愛契約書」のサウンド・プロデューサーだ。いきなりフリッパーズ・ギターで始まり、氷川きよし、小田和正、山下達郎、木村カエラなどをテクニカルにノンストップで流していくDJだった。