21歳の若き音楽作家、鈴木まなかが語る“コライト”の重要性 「自分の足りないところを補ってくれるという感覚が強い」

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「曲を作ることと、モニターの前に座ることは同じ」

――聞くところによると、スコアを書いたりしないそうですね。楽器もあまり触らないとか。まさに新時代のクリエイタ―という感じがします。

鈴木:そうなんです。曲を作ることと、モニターの前に座ることは同じで、楽曲を編集するイメージもすべて画面を想像しますね。だからコライトに関しても、自分の足りないところを補ってくれるという感覚が強くて。一人だと好きなジャンルも限られてくるけれど、誰かの色を加えると出来ることの幅が広がるし、それがクオリティの高さにも繋がると考えています。

――音楽家としての幅も広がるし、一石二鳥なやり方だと。

鈴木:はい。自分はメロディのプロフェッショナルを目指したいと思っていますし、尊敬している先輩方はコライトの経験をしっかり積んでこられているので、どちらかというと「コライトはカッコいい」という意識のほうが強いのかも。

――コライトする相手には合わせるタイプですか?

鈴木:一緒にコライトする前に、どういう系の作家さんなのかって聞いてから、「この人と作るならこうかな」と考えたりはしますね。「コード進行はこういう感じがいいです」とリクエストしたり、なるべくその人にしかできないことをお願いするようにしています。

――最近ではiDOL Streetの新鋭・わーすたのサウンドプロデューサーとしても活躍しています。

鈴木:まだプロデューサー歴も短くて勉強中ですが、自分の中では良い意味でも悪い意味でも作曲家の延長だと思っています。作曲家としての好みや曲単体の良さも重要ですが、アーティストとの相性をしっかり考えないといけないなと。これまでより客観的に見なければいけない部分は増えてきましたが、後々は作曲にも活きると思って奮闘中です。

――コンポーザーの視点と、プロデューサーの視点が交差しているんですね。

鈴木:コライトも自発的にやっていた成果として、「この曲はこの人に頼みたい」、「このエンジニアさんやアレンジャーさんがいい」という感覚は活かせていると思います。今まではその流れの中で曲だけ作るという形でしたが、プロデューサーの仕事では最後まで見ることができるので、満足度が高くてとても楽しいです。ただ、あくまで楽曲の命に係わる部分はメロディだと思っていて。自分がワンストップでアレンジまで出来ればいいなとは思うのですが、まずは音楽理論をしっかりと身につけ、世の中の楽曲を分析していくのを重視したいと考えています。

――ここまで数々の楽曲を作って来たなかで、ターニングポイントとなった1曲は?

鈴木:やはり、一番最初に決まったNMB48さんの『インゴール』ですね。この曲が決まるまではずっと切羽詰まっていて、周りの人には「あとは運だよ」と励まされていました。当時の1~2年くらいは、ほとんど友達と遊ぶこともなくて、辛い時期でしたね。でも、その経験により「私は音楽以外のことを長く続けられない」ということに気付きました。

――その時期は具体的にどういう苦悩をしていたのでしょう。

鈴木:最初の曲が決まるまで、「事務所内で一番曲数を書いている人」と言われるくらい作っていました。でも、自分より曲数の少ない人がどんどんコンペに通っていくのを見て「私には才能がないのかな?」って思ったし、Carlos K.さんやHiroki Sagawaさん、小田桐ゆうきさんみたいな天才型の先輩がポンポン作って決めていくから、余計に焦りが生まれていました。でも、決まった時に、自分のこれまでの楽曲と比べて徹底的に分析してみたら、クオリティが全然違って。そこで一曲にかける時間の大切さを学びました。

――常に楽曲を分析して研究しているとのことですが、そうしたスタンスになったのは、天才型の先輩とともに仕事をしてきた影響が大きかったりしますか?

鈴木:そうですね。みなさんかなり感覚的な方だったこともあり、彼らに対抗するために理論を追求しようと思いました。Hiroki Sagawaさんに学んだ部分がかなり大きいのですが、コードの付け方やアレンジの仕方、メロディの活かし方などを教えてもらい、自分の曲の幅がかなり広がりました。

――鈴木さんが楽曲を作る際、まずはどこから着手しますか?

鈴木:サビだけ最初に作るというパターンが大半で、昔からずっとそうですね。ボイスレコーダーにサビ頭だけ録りためていて、ストックはかなりの量を持っていますよ。合いそうなアーティストとテーマが来たときに引き出して、ほかの展開を付けて使ったりしていますね。

【(後編)「まずはアドバイスを貰って高めていけばいい」 鈴木まなかが考える“スキルアップのための手段”】へ続く

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