YUKIが提示する「芸術」としての音楽のあり方とは? シシヤマザキとのコラボレーション展覧会を見た

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YUKI

 今回感じたのは、「好きってなんだろう…涙」という楽曲の世界観は、音楽だけで成立しているものではないのだろうということだ。

 先日YUKIのオフィシャルサイト内で公開されたWebラジオ『YUKIweb RADIO「好きってなんだろう…涙/となりのメトロ 」Release Special 』で「アルバム『FLY』制作時期につくった曲だったけど、できた曲を聴いてどうしてもシシちゃんにミュージックビデオを作ってもらいたいと思って。(当時まだ大学院生だった)シシちゃんの卒業を待ってリリースした」というエピソードを明かしたように、シシヤマザキの作品が、いかに今作の世界観を表現するために必要だったのかということがわかる。そのあたりの詳しい話は、展覧会の『対談アニメーション』映像で語られているので、ぜひご覧いただきたい。

 これまでも多くのアートディレクターや芸術家とともに楽曲の世界観を表現してきたYUKIだが、特に今作は、音楽だけではなくアートワークやミュージックビデオ、さらに展覧会の開催という方法で楽曲の世界観を表現するという、まさに「芸術」としての楽曲のあり方を提示しているようだ。

 常に新しいものを取り入れて自身の感覚を更新し、さまざまなアイデアでファンを楽しませてくれるYUKI。今回のコラボレーションを終え、今後はどのような取り組みを見せてくれるのか。今からとても楽しみだ。

(文=久蔵千恵)

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