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金子厚武のプレイヤー分析

the HIATUSや木村カエラのバンドでも活躍 toe柏倉隆史のドラムスタイルを新作から読み解く

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木村カエラ
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 アコギのフレーズの反復とハンドクラップをメインとしたイントロダクションに導かれて始まる「A Desert of Human」はいきなりのツインドラム。スネア、ハイハット、バスドラの細やかなコンビネーションを生かした奇数拍子のポリリズムに、美濃隆章による空間を生かしたミキシングの妙も手伝って、一気にアルバムの世界に引き込まれる。続くCharaをボーカルに迎えた「Commit Ballad」ではより音数を絞って、抜き差しを生かしたリズムで歌や弦楽器と絡み、「The World According To」においては独特のタイム感のファンクビートが楽曲の軸となっている。唯一「My Little Wish」ではシンバルが打ち鳴らされ、派手なタム回しも差し込まれるが、それでもやはり抑制が効いているし、こうしたタイプの曲は本作では珍しい。

 その「My Little Wish」の先行試聴が行われた「NPR(ナショナル・パブリック・ラジオ/アメリカのラジオネットワーク)」のサイトでは、「Kashikura Takashi is a hell of a drummer」と紹介され、ザ・ルーツのクエストラヴが引き合いに出されていたが、今のtoeにおける柏倉のドラムがブラックミュージック系のドラマーに近いものであることは間違いない。木村カエラをボーカルに迎えた「オトトタイミングキミト」は、ロバート・グラスパーを連想させるメロウなピアノが印象的な曲で、シンプルなパターンながら微妙に跳ねたハイハットが心地いいグルーヴを生んでいる。日本のアーティストで言えば、近年のCharaのコラボレーターであるmabanuaや、ceroとの比較も可能だろう。

 とはいえ、決しスムースになり過ぎず、どこかゴツッとしたオルタナ感を残していて、武骨さを感じさせるのがやはり柏倉らしさであり、toeらしさだと言えよう。それはエレドラを用いた「Song Silly」や、U-zhaanのタブラとアフロビートによる「G.O.O.D L.U.C.K」にしてもそうで、その感触は妙に生々しく、簡単に何かのジャンルに当てはめられるようなものではない。ライブにおいて音に没入する姿が示しているように、彼のドラムには柏倉隆史という人間のエモーションがそのまま刻まれていて、それが他に類を見ないオリジナリティへとつながっている。そして、それぞれが独自のパーソナリティを有しながらも、同等の熱量を持った4人の集合体が、まさにtoeというバンドなのだ。

(文=金子厚武)

      

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