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『LUNATIC FEST.』2日間を冬将軍が詳細解説

X JAPAN、BUCK-TICK、LUNA SEA……強者バンドが集結した『LUNATIC FEST.』徹底レポ

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独自の世界観に引きづり込む、孤高のステージ

 お祭り感のあったこのフェスを、良い意味でぶち壊してくれたバンドがいた。

DIR EN GREY(27日 MOON STAGE)

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 紗幕の掛かったままのステージに蟻だらけの映像、幕が開けば、バックスクリーンの大画面に虐待MVを投影しながらのライブ。重低音のバンドアンサンブルと、京(Vo)の凄まじい奇声がホールに響き渡る。狂気と暗黒性を色濃く打ち出した世界にオーディエンスが引きずり込まれていく。地団駄を踏むようなステップを見せるToshiyaの直角に構えたベースには、J直筆の“WAKE UP! MOTHER FUCKER”の文字が。「空谷の跫音」では、SUGIZOのエレクトリック・ヴァイオリンの音色と突き抜ける京のハイトーン・ボーカルが折り重なり、スクリーンに映し出されたコムローイ(ランタンを空に放つ、タイの祭り)の情景も相俟って、先ほどとはまた違う異世界へといざなっていった。

BUCK-TICK(28日 MOON STAGE)

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 サウンドチェック時に悲鳴のようなノイズが響き渡る。BUCK-TICKのライブ前ならではの光景である。ミラーボールに照らされて「独壇場Beauty」で始まったゴシックでデカダンスなロックショー。「メランコリア -ELECTRIA-」「Django!!! -眩惑のジャンゴ-」、マイクスタンドを男性器に見立て、艶めかしい低音ボイスで魅了する、魔王・櫻井敦司。「形而上 流星」では幾何学映像と音のシンクロで、“死ぬほど美しい”ステージを魅せ、渾沌とした終焉に向かっていく「無題」で締めくくる。Jを招いての「ICONOCLASM」があったものの、フェス仕様といった、初見に優しいセットリストではなく、唯一無二の存在感で惹きつける。この良い意味での裏切り方も、孤高のスタンスを貫いてきたバンドらしいステージだった。

X JAPAN(27日 MOON STAGE)

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 お馴染みの「X JAPAN… JAPAN… JAPAN…」のナレーションからの「JADE」。きらびやかなチェンバロの印象的な“あのイントロ”が鳴り響き、待ってましたといわんばかりの大合唱が起こった「Rusty Nail」。ここ数年では最速だった「紅」。定番曲連発に会場は興奮の坩堝と化す。新曲のオーディエンスによるコーラスレコーディングが行われるなどのサプライズ、ビジョンでのHIDE、TAIJIへのメッセージ、そして、HIDEの煽り「飛べ飛べ飛べ飛べ飛べ〜」による3万人のXジャンプ。最後はこれでもかというくらいの「We Are?! 〜 X!!!!」。大トリ感満載の展開に、もう今日の壮大なフィナーレを迎えてしまったのかとも思えてくる。演奏やセットリストのみならず、演出、MC、すべてにおいてX JAPANの存在自体が壮大なエンターテインメントであることを知らしめた、まさに王者の風格である。

オーガナイザー・LUNA SEA ~ 一大セッションへ

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 「LOVELESS」の神秘的なイントロで会場の空気が一変した。朝からメンバーは様々な形で姿を見せていたが、5人が“LUNA SEA”としてステージに立つ姿は説得力が違う。演奏がどうとか、サウンドがどうであるとか、そういう次元ではない。「Dejavu」「JESUS」「TONIGHT」、次々と繰り出されるステージからの圧倒的なパワーとオーラに、完膚無きまでに叩きのめされている気分だ。

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 「本当はステージに一緒に出たかった人とかもいて。今日は来れなかったんだけど、いや、違うな、今日はきっと、このステージに、会場のどこかにいると思います」

 RYUICHIがそう言って演奏したのは、hideの「ピンク スパイダー」。日本での本格的な音楽フェス開催を誰よりも望んでいたのは、hideだった。FUJI ROCK FESTIVALが始まった前年の1996年、hideが様々なアーティストを集め、〈LEMONed presents hide Indian Summer Special〉を開催したのは、ここ、幕張メッセの向かいにある千葉マリンスタジアム(現・QVCマリンフィールド)だった。28日は「ROCKET DIVE」が演奏されたが、両曲とも、カバーではなく“完コピ”であったことに、リスペクトと愛が込められていたことは言うまでもあるまい。

 強靭な喉を持つRYUICHIだが、声に不調な場面もあった。この一大イベントに力みすぎてしまったのか、諸先輩方にエクスタシー恒例の洗礼を受け、呑まされすぎてしまったのかは定かではないが、苦しそうなのは誰の目にも明らかだった。それに気付き、演奏でフォローしていくような他メンバーの姿に、長年連れ添ってきた仲間ならではの絆を垣間見る。だが、ライブが進むにつれ本来の調子を取り戻していき、後半にはほぼ復活して艶めかしい歌声を響かせていた。超人級のボーカリストの底力である。

 アンコールでは出演者入り乱れてのセッション。1日目はYOSHIKIがHIDEのギター、イエローハートMGを手にして登場。実弟・松本裕士氏が届けたという正真正銘の実機である。酒を片手に楽しむPATA、NORI、GEORGEの姿と、2日目では嬉しそうに終始エアドラムを叩いていたピエール中野の姿が印象的だった。

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 LUNA SEAのメンバーが他バンドに乱入する場面もあったが、それ以外でも、袖やほかのステージからにこやかに、時に真剣なまなざしで他バンドを見つめるメンバーの姿も多く見られた。ただ呼んだだけではない、先輩後輩関係なく、LUNA SEAからの最大のリスペクトと感謝が込められた2日間。各々がそれぞれの音楽を切磋琢磨していくシーンの縮図ともいえる内容だった。フェスというよりも、“ドでかい対バン”とでもいうべきだろうか。

 同じフロアに3ステージ、同時進行の被りもなくスムーズな転換、見ようと思えばすべてのバンドを見ることが出来たところも印象的だった。来場者にとっては名前を知っていても見たことがない、聴いたことがないバンドに触れる機会も多くあったはず。LUNA SEAを通じて新しい音楽に触れる……かつて、彼らに様々な音楽を教えてもらったことも多かっただろう。そんなキッズたちが、時を経て、今回のフェスにも多く出演したのだ。そして、また次の世代へと受け継がれていくだろう。RYUICHIは“地層”と言っていたが、このLUNA SEAがもたらしたシーンは、深層に刻み込まれ、これからも何層にも重なっていくのである。

■冬将軍
音楽専門学校での新人開発、音楽事務所で制作ディレクター、A&R、マネジメント、レーベル運営などを経る。ブログtwitter

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