ミスチルがダントツ1位のALチャートで考えた、音楽プロモーションの今後

参考:2015年6月1日~2015年6月7日のCDアルバム週間ランキング(2015年6月15日付)(ORICON STYLE)

 先週のシングルチャートで柴那典さんも書いていたが、珍しく「J-POP感」のある並びになっていた先週。アルバムも上位にはsuperfly、湘南乃風、アジカンが並び、7位サザンの下に話題のceroが飛び込んでくるなど、新人と中堅とベテランとが見事な接戦を見せていた。(参考:星野源はさらなるスターへの階段を登る? SGチャート2位の楽曲を読み解く

 ここでいう「J-POP感」とは、ポップスもロックも含めたフェスを楽しみ、暇があればレコードショップに立ち寄る人たち。またナタリーやリアルサウンドの記事をこまめにチェックし、たまには音楽雑誌を手に取って、それを楽しんでいる人たち、というイメージ(後者は私のようなライターを生かしてくれている場所です)。ロックンロール魂を突きつけたアジカンの新作『Wonder Future』が4位というのは非常に喜ばしいと、みんなで無邪気に言えたらいいんだけども。

 先週の1位はアニメ「ラブライブ!」に登場するアイドルグループμ’sのベスト・アルバム。売り上げは85,086枚。今週は7位で12,226枚なので、トータルはほぼ10万枚に近い。二週連続で2位のsuperflyのセールスはこれを若干下回るし、アジカンと湘南乃風とceroの売上総数を足しても10万枚には届かない。はっきりと現実を突きつけられる。J-POPの力作よりもアニソンのほうが強いのだ。

 J-POPアーティストの場合、アルバム完成から発売までの数ヶ月、あまたの音楽メディアでプロモーションに励むのが通常だが、アニソン声優が同じくらいの活動をしているのかといえば、これはもう根本的に畑が違う話である。主題はもちろん盛り上がるアニメの内容であり、いったん話が完結するワンクールのタイミングで、声優たちはCDのことは特に言及せず、アニメそのものを振り返るインタビューを受けているようである。

 だから、アニメに明るくない人にとって、ヒット作品の主題歌が売れるならまだしも、劇中のキャラクター名義で出すソロと言われると、もう何が何やらよくわからない。それが顕著なのが今週で、4〜6位は人気のアニメ/ゲーム『アイドルマスター』から、各キャラが14,345〜13,830枚という僅差でランクイン。その下には前述のμ’sだ。派手なプロモーションはないから、知らない人はまったく知らない。アーティスト名を知ったところでアニメを見ないと実態がわからない。クローズドな世界だが、でも確実に売れている。これは、とにかくプロモーションして広く名前を知ってもらい、なんとなく気になる存在になる=すなわち売れるというJ-POPの構図とは対極だろう。

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