動員力と“2016年問題”にみる、アイドルとコンサート会場の関係 鍵を握るのは「地方アリーナクラス」?

48グループのコンサート事情

 AKB48とその姉妹グループはひとまとめにされがちがだが、姉妹グループごとに見てみると、それぞれの事情に違いがあることがよくわかる。ここでは各グループのコンサート事情に触れておこう。

 AKB48は前述の通りすでに5大ドームツアーまで経験済みだが、必ずしも全会場全公演が満員御礼だったというわけではない。今年の12月8日に結成10周年を迎えることや、総監督・高橋みなみの卒業を控え、グループにとって大きな節目となるため、大きな稼働が今後予想される。果たして今回は2年前のドームツアーを超えるような動員を達成することができるだろうか。

 SKE48はすでに地元最大規模のナゴヤドームでの公演を成功させているが、地元以外だと東京で武道館や横浜アリーナ、さいたまスーパーアリーナで単独公演を行い、関西では神戸ワールド記念ホールでコンサートを行っており、東名阪のアリーナクラスまでは押さえた印象だ。そして現在は2014年11月から始まっている全国47都道府県を周るホールツアーを行っており、地方への人気をさらに拡大すべく全国へ脚を伸ばしている。

 NMB48は大阪城ホールでのライブは経験済みだが、京セラドーム大阪での公演はまだ行えていない。ドームの中でも比較的キャパシティの少ない同会場なので、今年春にアリーナツアーを成功させた勢いからさらに加速させ、地元でのドームコンサートを実現させたいものだ。HKT48は福岡でアリーナ公演はまだ行っていないものの、海の中道海浜公園(福岡)での野外ライブや台湾や香港でのライブも行っている。AKB48のシングル曲で渡辺麻友と共にセンターに立った宮脇咲良や劇場支配人を務める指原莉乃の影響もあり、関東でも順調に人気を集めている印象で、これからの伸びに期待ができそうだ。

 姉妹グループではないが、関連グループということで乃木坂46にも触れていく。彼女たちは上記の姉妹グループとは異なり劇場が無いため、グループとしての年間のライブの本数も必然的に少なくなる。そんな彼女たちは、CDの売上という面では去年に入ってSKE48を抜き3枚のシングルで50万枚を超えるセールスを記録しているが、実は48関連グループの中で現在最も集客力があるグループもまた彼女たちなのである。すでに発表されている今年のツアーでは大阪・名古屋・福岡・広島・仙台でのアリーナ2days公演、そして神宮球場での2days公演と地方主要都市でのアリーナクラスと関東でのドームクラスの公演を切っている。彼女たちの動員力の理由は様々あるだろうが、大きな理由としては、劇場が無いことでコンサートの本数が少なく、1つ1つの公演価値が高まっているからであることは間違いないだろう。また、現在進行形で会場規模を大きく出来ていることで、ファンはメンバーと共に前進している感覚を味わえるという点もあると考える。

 そして、新たな姉妹グループとしてNGT48が新潟で発足することも決定済みだ。新潟はアリーナクラスだと朱鷺メッセ、スタジアムだとビッグスワンといった会場が十分に揃っているが、同時にここ数年多くのアーティストが動員に苦しむ都市の一つでもある。しかし、アルビレックス新潟も地元で盛り上がりをみせ、横浜DeNAベイスターズの本拠地移転先として一時報道されるなど注目度も高く、今年に入って北陸新幹線も開通している。Negiccoという先駆者もいるため、この場所には現在、勝負する価値が十分にあると考えていいだろう。

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