エンタメにおける“音楽とお笑いの関係性”はどう変化してきた? 最新チャートから考察

 さて、同じエンターテインメントの世界であると考えてから、改めてこの事実を確認したいのだ。1975年にデビューした浜省の、なんと10年ぶりの新作が、何食わぬ顔で2週連続1位。これってやっぱりすごくない?

 もちろんすごいのは彼の根強い人気でありクオリティなのだが、そこには「今の」という話題性がない。ベテランばかりが粛々と強く、ほかはサントラやオムニバス、あとは人気BLコミックのドラマCDなどが数千枚単位でランクインしている今週のチャートには、「今話題の!」「今若者にウケている!」「みんなが口ずさむ!」というような賑やかしの言葉がまったく似合わないのだ。

 もちろん、音楽がすべてのメディアや流行や話題とリンクしていなくても、まったく問題はないのである。ないのだが、今週のチャートには、ざっくりエンタメと呼ばれるものとはまったく別の「落ち着き」を、もっと言うなら「静寂」のようなものを感じてしまうのだった。

■石井恵梨子
1977年石川県生まれ。投稿をきっかけに、97年より音楽雑誌に執筆活動を開始。パンク/ラウドロックを好む傍ら、ヒットチャート観察も趣味。現在「音楽と人」「SPA!」などに寄稿。

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