“崖っぷちSSW”が迎えたいくつかの転機……沢井美空が新作で見せた成長の証とは?

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 大阪出身、現在21歳の女性シンガーソングライター沢井美空(さわい みく)が2ndアルバム『憂鬱日和。』を3月25日にリリースする。ここ数作のシングルが『キルラキル』『アカメが斬る!』といった人気アニメのテーマソングに採用され、今年1月にリリースされたばかりの最新シングル『カラフル。』はフジテレビ“ノイタミナ”のアニメ『冴えない彼女の育てかた』のエンディングテーマとしてオンエア中。さらにチャートアクション的にも過去最高の週間ランキング最高32位を記録し、注目度が高まる中でニューアルバム発売を迎える。

 沢井は現役女子高生だった2011年5月、シングル『あたし、今日、失恋しました。』でメジャーデビュー。続く2ndシングル『なきむし。』はテレビアニメ『君と僕。』のエンディングテーマとして人気を集めたほか、navy&ivoryの代表曲「指輪」のアンサーソングとして制作された4thシングル『指輪〜あたし、今日、結婚します。〜』もスマッシュヒットを記録した。しかし2013年6月発売の1stアルバム『センチメンタル。』までの彼女は、等身大のラブソングを歌う女性シンガーソングライターというありがちな枠から抜けきれずにいた。実際、今アルバム『センチメンタル。』を聴き返すと決して悪い内容ではないものの、特出した1曲と呼べるものは残念ながら見受けられず、「ベターだけどベストではない」1枚だったように思う。アーティストイメージ的にもデビュー時の「現役女子高生シンガーソングライターが」云々の呪縛から逃れられずにいたのではないだろうか。

 そんな彼女に転機が2つ訪れる。1つは、2013年11月発売の5thシングル『ごめんね、いいコじゃいられない。』が『キルラキル』のエンディングテーマに抜擢されたのを機に、3作連続でテレビアニメのテーマソングを担当したこと。各作品の世界観に引っ張られるように、彼女の詞世界や言葉のチョイスもより広がりが見られるようになったのは、今回のニューアルバム『憂鬱日和。』を聴けばおわかりいただけるだろう。アルバムタイトルの「憂鬱日和」という不思議なワードセレクトをはじめ、1曲目「浮遊旋律」なんて音楽用語の「フラット(半音下げ)」と足下がふらつく「フラッと」をひっかけたような歌詞がとても印象的だ。中にはMacにてアプリケーション終了を意味するショートカット「⌘Q(コマンドキュー)」がそのまま曲名に用いられ、曲中では「新曲いいね。アプリで無料で聴けたよ」とアーティストにとっては耳の痛い話題がつづられている。そういったこと(人)に対して「⌘Q」するという辛辣な歌詞が耳に残るのも、1stアルバム『センチメンタル。』との大きな違いと言える。

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