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乃木坂46、11thシングルから読み取れる「懐古と再出発」とは? バラエティに富んだ収録曲を読み解く

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彼女たちはなぜ「命」について歌うのか

 詞に目を向けてみると、「何度目の青空か?」「僕がいる場所」から継続して「命」や「時」がテーマになっている。多くのアイドルの詞のテーマが「青春」や「恋愛」であり(乃木坂もその例にもれるわけではないが)、聴く側の理想や想像を掻き立てるものであるなか、「命」や「時」というよりリアリティーのあるものをテーマとするのか。それは、乃木坂46を「美しさ」や「清さ」の象徴としたとき、さらにその輝きを増すために必要なことは「命」や「時」といった抗えないものに目を向け、その現実を受け入れることなのだからかもしれない。想像や理想という非リアルなものを追求するのも1つの道だが、彼女たちはリアルを受け入れて得る輝きを求める道を選んだ。そういう意味で、ものすごくアイドル的でありながらも、同時にものすごく切なく儚い西野七瀬は、センターにふさわしい存在といえるだろう。彼女たちが「命」について歌うのは、それを受け入れ進む先に更なる成長が待っていると信じているからなのかもしれない。

カップリング曲が映す様々な乃木坂46の姿

 実は、今回「命は美しい」に収録されている計6曲の中で、選抜メンバーが歌っているのは表題曲のみ。その他のカップリング曲は「選抜年少メンバー6名」「選抜大人メンバー7名」「ソロ曲」「アンダー曲」「研究生曲」と歌唱メンバーはバラエティーに富んでいる。

 「立ち直り中」は大人メンバーが歌う楽曲ではあるが、白石が出演しているCMのテーマソングでもあり、彼女のソロパートが多く割り振られている。「偶然を言い訳にして」「でこぴん」「革命の馬」など等身大の内容を歌うことの多い大人メンバー楽曲だが、今回はどこか懐かしいメロディーが優しく心に寄り添うノスタルジックな楽曲となっている。

「ごめんね ずっと…」は西野七瀬の2度目のソロ曲となる。前作「ひとりよがり」に負けず劣らず西野のキャラクターや声質を活かした楽曲で、その切なさと愛おしさが全面に押し出されている。さらにこの曲はMVの公開によって、男女の別れの歌という視点だけでなく、以前の西野七瀬と現在の西野七瀬の別離と再出発という視点を提示し、さらに誰もが考える今とは異なる道を選択した自分の姿を映し出す鏡にもなっている。

 アンダーライブの盛況により注目度を高めるアンダー曲「君は僕と会わないほうがよかったのかな」は久々の歌モノ。楽曲のタイトルは“きゅんきゅん王国のお姫様”でありながら、同時に乃木坂随一のリアリスト齋藤飛鳥と“格差社会コンビ”を組むセンター中元日芽香がまさに口にしそうなセリフだ。詞だけ見るとひたすら後悔を重ねる僕のストーリーでしかないのだが、それでも爽やかに聴こえるのはアコースティックギターとブルースハープの力であり、それもまた中身と外身にギャップのある中元らしいと言えるかもしれない。アンダーメンバーがどのように楽曲を飲み込みアンダーライブで表現してくれるのか今から楽しみでならない。

 乃木坂唯一の研究生のみの曲であり、2期生のみの曲であるこの「ボーダー」が歌うのは、文字通り研究生と正規メンバーとの境界線を飛び越えていく彼女たちの姿だ。サウンドはエレクトロでエモーショナル。今までの乃木坂にはあまりなかったタイプのものだと言えるかもしれない。

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