SKE48とNMB48、なぜシングル同日リリース? 次世代への流れを”保留”した戦略を読む

 今回の同日発売シングルに関してSKE48、NMB48両者の共通点を挙げるならば、昨年、直近のシングルで見せたような次世代への継承の流れを、一旦保留していることだ。NMB48は『らしくない』で白間美瑠と矢倉楓子を、SKE48は『12月のカンガルー』で北川綾巴と宮前杏実をWセンターに起用して、現在の主軸メンバーの次を担う世代を中心に置いた。3月31日発売のシングルではSKE48は磯原杏華、江籠裕奈、神門沙樹といった新鮮なメンバーを選出しつつも松井珠理奈、松井玲奈のセンターを戻して盤石を期し、NMB48は山田をセンターに両サイドを山本彩、渡辺美優紀が支えるシフトになっている。双方のグループの文脈の中で、定番のメンバーを中央に置いているが、それぞれにその意味合いは異なり、姉妹グループの両者が同じベクトルを向いたものとは言いにくい。

 昨年は48グループ全体を通じて、次世代への継承の意思がうかがえた年だった。大きな流れとしては現在もその途上にあるといえる。白間、矢倉は現在放送中のドラマ『マジすか学園4』(日本テレビ系)でもスポットの当たる役どころを用意され、引き続き山本、渡辺らに次ぐポジションをグループ内で得つつある。他方、NMB48に比べると若手メンバーの目立つポイントがまだ少なく、一旦W松井の絶対的な体制に戻ったかに見えるSKE48は、次世代をどう位置づけていくのか。両グループの世代継承を巡る動きは、3月31日のシングルではなく、来年度前半の展開でこそより明確になるだろう。

■香月孝史(Twitter
ライター。『宝塚イズム』などで執筆。著書に『「アイドル」の読み方: 混乱する「語り」を問う』(青弓社ライブラリー)がある。

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