夏木マリ、なぜ「ゲラゲラポーのうた」をカバー? キャリア44年の“遊び心”に迫る
夏木マリが、テレビアニメ『妖怪ウォッチ』の主題歌「ゲラゲラポーのうた」を“歌ってみた”動画をYouTubeにて2月14日0時に公開し、話題を広げている。
同映像に夏木は、ファーの付いた上着にピンク色の大きなサングラスという派手な格好で登場。アコースティックギター1本のシンプルな伴奏に合わせ、体を揺らしながらソウルフルに「ゲラゲラポーのうた」を歌い上げている。初挑戦だというラップパートも、小節が効いていてパンチのある歌い回しだ。時折アドリブで入る「ヒュー!」というかけ声には、夏木らしいファンキーさも感じられる。
夏木といえば、スタジオジブリのアニメ『千と千尋の神隠し』で湯婆婆の声優を務め、NHK朝の連続ドラマ『カーネーション』では主人公・小原糸子の晩年を好演、最近ではフジテレビ系ドラマ『ファーストクラス』でファッション業界のゴッドマザー役を務めるなど、個性的な役回りを多く演じていることで知られている。そのため一般的には、“奇抜な個性派俳優”という印象が強いかもしれない。
しかし、過去の活動を振り返ると、1971年に本名で歌手デビューした後、1973年に「夏木マリ」(「夏に向けて決めよう」→「夏決まり」→「ナツキマリ」)に改名して「絹の靴下」で再デビューし、大ヒットを飛ばしている。その後、キャバレー回りをするなど長い不遇の時代を過ごしたが、1993年に企画から構成、演出、出演まですべてを手がける舞台表現「印象派」を立ち上げ、国内外で高い評価を得た。1995年には小西康陽プロデュースで『九月のマリー』など4枚のアルバムをリリースし、再び音楽の世界で注目を浴びる。その後、声優や俳優として実績を重ね、芸能界で確固たる地位を築きあげたのは、多くの人々が知るところだろう。夏木の芸能キャリアは、もともと音楽からスタートしているのだ。
そんな夏木マリはキャリア44年・62歳にして、今年4月から初の全国ライブハウスツアー18公演を決行するという。今回、公開された「ゲラゲラポーのうた」は、同ツアーで歌う曲を一般からリクエストして募るという企画を行うにあたって制作されたようだ。YouTubeではほかにも、夏木がセレクトしたという椎名林檎の「罪と罰」とフラワーカンパニーズの「深夜高速」のカバーも公開されている。これらの映像からは、夏木のミュージシャンとしての幅の広さが伺えるだろう。
夏木マリが自身のスローガンとして常々掲げている「マチュレーション・ガール」という言葉がある。「マチュレーション(成熟した)」大人でありながら「ガール」のような遊び心を忘れない、というマインドを表現した造語だという。今回のライブハウスツアーは、そんな夏木にとって「本気の遊び」であり、公開された動画もまた、年齢を重ねてなお輝きを失わない、彼女の“遊び心”を映し出したものなのかもしれない。なお、今後も夏木はリクエストを受けて、“歌ってみた”動画を随時アップしていくという。
(文=編集部)
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