乃木坂46、初アルバム『透明な色』に与えられた課題 2015年の彼女たちに必要な「色」とは?

 これらの新曲を最初に聴いた感想、各楽曲の解説は昨年12月上旬にオフィシャルサイトに寄稿したので割愛するが(参照:http://www.nogizaka46.com/news/2014/12/46-101323.php)、少人数でのユニット曲、昨年のシングルでセンターを務めた生田絵梨花、西野七瀬によるソロ曲、そして選抜、アンダー+研究生による楽曲(意外にも研究生参加曲はDISC 2収録「自由の彼方」が初となる)と、シングル以上にバラエティに富んだ内容は、アルバムだからこその実験心や遊び心に満ちあふれている。このアルバムで初めて乃木坂46にじっくり触れる人たちが新曲を通じて、メディア露出の多い生駒里奈や白石麻衣のようなメンバー以外の個性を感じることができる。なんならType-AにはライブDVD(さわりの1時間のみだが)も付属しているわけだし、こうやって楽曲や映像を通じてメンバーの“個”を知ることで、グループ全体に対する理解を深めていくこともできるわけだ。

 48グループと比較して、現在の乃木坂46は明らかに個々のメンバーに対する認知度は低いと言わざるを得ない。ほかのアイドルグループと比べてもガツガツした印象がなく、どこか清楚でお嬢様的なイメージが(よくも悪くも)つきまとっていた。そのイメージは『透明な色』というアルバムタイトルにも反映されていると言える。この矛盾するタイトルこそ、実は彼女たちのパブリックイメージそのものなのだ。いい意味で捉えれば「結成4年目の現在も透明感がある」、悪い意味で言えば「明確な色がない」。色ですらない透明を、色の例えに使う意味……それぞれが個性を強めて色を付け、それをグループに持ち寄ったときにどういう化学反応を起こすのか。乃木坂46にとって2015年の真の課題は、実はここにあるのではないだろうか。この課題がどのような形で達成されるかは現時点ではわからないが、いい意味で透明感を保ちつつも、変幻自在なカラーを兼ね備えたときこそ、彼女たちの目標は誰もが認める形で叶うはず……そしてその実力はすでに持っているのだから、それをどのようにしてうまく発揮するかにすべてはかかっている。

 昨年リリースしたシングルがすべて売上50万枚を突破し、メンバーのソロ仕事も増加。それまで露出の少なかったアンダーメンバーや研究生もアンダーライブを通じて経験と実力を付けていき、もはや選抜メンバーに肉薄している。すべてのお膳立ては揃った今、乃木坂46の本当の意味での快進撃は、この『透明な色』から始まる。

■西廣智一(にしびろともかず) Twitter
音楽系ライター。2006年よりライターとしての活動を開始し、「ナタリー」の立ち上げに参加する。2014年12月からフリーランスとなり、WEBや雑誌でインタビューやコラム、ディスクレビューを執筆。乃木坂46からオジー・オズボーンまで、インタビューしたアーティストは多岐にわたる。

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