YouTube総再生回数は2000万超 新鋭MACOがめざす“身近な歌姫”像とは?

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 『テラスハウス』のオープニング曲として知られた、テイラー・スウィフトの「私たちは絶対にヨリを戻したりしない〜We Are Never Ever Getting Back Together」を日本語でカバーし、一躍その名を世間に轟かせたシンガーソングライター・MACO 。そんな彼女が11月26日にアルバム『23 plus』をリリースした。

 17歳のころから作詞・作曲などを行っていたMACOは、2013年に上京。そのクリアな歌声と、テイラー・スウィフトなどの若手洋楽シンガーに通ずるポップな楽曲をライティングする能力が徐々に話題となり、昨年Matt Cabやtofubeatsらが所属する音楽プロダクション「onepeace」と契約し、YouTubeで公開したテイラー・スウィフトやケイティ・ペリー、マイリー・サイラス、アヴリル・ラヴィーン、アリアナ・グランデなどの洋楽ヒット曲をMACOの書き上げた日本語詞のバラードにアレンジして歌った動画が話題となり、その再生回数はわずか5ヶ月間で600万回を記録した。また、m-floが2014年3月にリリースしたアルバム『FUTURE IS NOW』では、「My Way / m-flo + ayumi hamasaki」、「d.w.m / m-flo + Reina Washio (Flower / E-girls)」の共作者として、そして客演として「Find A Way」など4曲に参加するなど、様々な場面で才覚を発揮している。

 また、プロモーションの部分では興味深い施策をいくつか見ることができる。MACOはあくまでYouTubeやソーシャルメディアを用いた「口コミ」による拡散でブレイク。ジャスティン・ビーバーやコーディー・シンプソンのように、誰もが一度は耳にしたことのある楽曲のカバーを動画サイトで公開し、歌唱力やアレンジ能力をアピールした。その動画が話題になると、TwitterやTwitCasting(ツイキャス)、Facebookで曲を聴いたリスナーと密にコミュニケーションを図り、歌のことや化粧品、ファッションの話まで気軽にできる「身近さ」でファンを獲得した。

 MACOの魅力を語る際、ファンたちがこぞって挙げるのは、“共感できる歌詞”だという。実際に若い世代の女性に先述の「身近さ」を感じさせるリアリティな表現が多く、自分のこととして歌詞を咀嚼するファンも多いそうだ。このような歌詞を彼女はどういう思考・手法で制作しているのだろうか。作品の変遷とともに、本人へ訊いてみた。

――歌詞を書くときに気を付けていること、自分の中でルーティーンにしていることなどはありますか。

MACO:紙とペンよりは携帯電話のメモ機能ですね。(歌詞が)降りてきたら携帯に“殴り打ち”しています(笑)。気を付けていることは、俳句の季語じゃないけど、みんなが聴いていて情景が浮かぶような言葉選びをしています。あと、ストーリー的にはなるべく完結するように。「何言ってるんだろう」と思われないようにしたいし、切ない歌でも最後はポジティブに考えるような感じで終わりたいんです。書くのは早ければ30分で、遅くても2時間では書けますね。“降りてくる”瞬間をいつも待つんです。

――順を追ってインディー時代の『22』、アルバム『23』、そして今回の『23 plus』に収録されている新曲についてお伺いしていきます。『22』では、“今”を表現する曲が多い中、「この世界中で」は“結婚”という未来のことを思わせる曲ですね。また、上京時の話が入っていると思われる「I Wanna Go」が印象的でした。

MACO:『22』は上京したてで曲を作って…という感じだったので、故郷の函館から持ってきた曲もあって。私の初々しい部分が見える作品です。「I Wanna Go」は東京に出てきてすぐに作った曲で、今聴いてもキラキラしていて若々しい感じがしますね。「この世界中で」は実体験ではなくて、お姉ちゃんの話なんです。姉が現在の旦那さんとの馴れ初めや、同棲し始めてから結婚するまでの話をドラマチックに聞かせてくれていて、「たまにはケンカもするけど、この人のことを愛したことは忘れないかも」って言われたときに閃いて書き上げた曲です。

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