Berryz工房、ラストシングルに見るアイドルとしての誇り つんく♂とメンバーが築いたものとは?

つんく♂の投げ掛けた“音楽”と“うた”

 つんく♂プロデュースには通常の音楽プロデューサーには見られない特色があるように思う。クリエイター気質のプロデュースではない。自らの経験を元にしたボーカリスト、フロントマンとしてのノウハウの継承とでもいうような、プロデューサーとアイドルという関係ではなく、歌い手・アーティストとしての師弟関係を感じるときがある。

──はっきり言って、彼女たちのデビューのハードルを、かなり高めに設定しました。だって、普通の新人とは意味が違うからです。(つんく♂オフィシャルサイトより)

 2004年デビュー曲「あなたなしでは生きてゆけない」はメロディー、リズム、歌詞、どれを取っても小学生にとっては難易度の高い楽曲だった。「歌詞の“半信半疑”の意味すら解らなくて辞書を引いた」と、のちにメンバーも当時を語っている。表向きはタイトル通り一途な想いの恋愛ソングに聴こえるが、つんく♂氏は「“あなた=音楽”と解釈して聴いて見てください」とコメントしている。その言葉通り聴いてみると、大分印象が異なるだろう。これからアイドルとして羽ばたいていこうとする彼女たちに、いちアイドルだけではなく、歌手・アーティストとして成長してほしいという願いが感じられるはずだ。

Berryz工房「あなたなしでは生きてゆけない」(MV)

〈恋の終幕って見えない ハッピーエンドになりたい 一生あなたのこと愛したい〉

 あれから10年、「音楽なしでは生きてゆけない」かのごとく、彼女たちは休む暇もなく、歌い続けてきた。そして今、デビューと同じチェック柄を身にまとい、過去を愛して、現在を生き、未来を信じて永久を高らかに歌う。2015年2月28日、3月1日有明コロシアム、そしてデビュー11周年を迎える2015年3月3日の日本武道館コンサートをもって、Berryz工房は永遠の存在になる。

■冬将軍
音楽専門学校での新人開発、音楽事務所で制作ディレクター、A&R、マネジメント、レーベル運営などを経る。ブログtwitter

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