日本のロックシーンの生き証人ーーザ・コレクターズ最新作から見えた音楽性とは?

 今作の制作に入る直前に23年間バンドのベースを務めた小里誠の脱退という出来事が起こっている。通常であればスケジュールを延期、白紙に戻すか、複数のベーシストに弾いてもらうなど形を取るが、このアクシデントを支えたのはオレンジズの山森 JEFF 正之。わずか2日で覚えてレコーディングに参加という驚異的なスケジュールであったという。加藤とはお互いザ・バイクとザ・シャムロックという80年代に東京モッズ・シーンを湧かせた30年来の盟友であるからこそ成せる業だろう。サポートではあるが、アルバムジャケットやアーティスト写真、ミュージックビデオなど、ほぼメンバーとして登場しており、メンバーからの熱い信頼を感じる。JEFFのベースは、躍動感のあるリズムと印象的なベースラインとともにバンドに新鮮さと新たな可能性を与えた印象を受ける。そして、現在行われている全国ツアー「THE COLLECTORS TOUR 2014 "DA! DA!! DA!!!"」を支えるもう一人のベーシストは、the pillowsでベースを務める鈴木淳だ。

 スピッツやthe pillowsなど、数多くのミュージシャンにリスペクトされているTHE COLLECTORS。怒髪天の増子直純とともに錚々たる国内ミュージシャンの面々を集めた「恋チュン」動画も話題になった(参考:コレクターズ、怒髪天、真心……「恋チュン」動画で錚々たるミュージシャンが踊ったワケ)。スピッツ主宰イベント「新木場サンセット」での自称オープニングアクト(実際はトップバッター)も恒例となっている。「スピッツさんとthe pillowsさんに支えられてます」と時折、自虐気味に自己紹介する言葉に、彼らが多くのミュージシャンたちに慕われる要因を垣間見る。モンスター・ヒットがあったわけではないが、27年間メジャーでアルバムを作り続け、1年中ライブ活動をやり続けてきたミュージシャンズ・ミュージシャン。まさに日本のロックシーンの生き証人なのだ。

 革新や奇をてらったような音楽的進化を追い求めるようなバンドではない。ただ、ブレることなく信念を貫き通すロックバンドの生き様を教えてくれるのである。

■冬将軍
音楽専門学校での新人開発、音楽事務所で制作ディレクター、A&R、マネジメント、レーベル運営などを経る。ブログtwitter

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