嵐・二宮和也はなぜ『ピカンチ』でヒッピー姿に? その独自の表現スタンスを読み解く
嵐の5人が主演する映画『ピカ☆★☆ンチ(ピカンチ・ハーフ)LIFE IS HARD たぶんHAPPY』(8月1日~31日、東京ドームシティホール)のチケット約25万席が発売翌日に完売し、大阪、名古屋、福岡、札幌でも拡大公開されることが決定、大きな話題となっている。
同作は、東京の巨大団地で育った同級生5人の青春映画『ピカンチ』シリーズの最新作で、前作から8年後を描いている。先日18日に初公開されたポスタービジュアルでは、屋形船でラーメン屋を開いたシュン(相葉雅紀)は水兵服、ボンボンのボン(松本潤)は妙にリッチなスーツ、苦労人のハル(大野智)はくたびれたスーツ姿、暴走族上がりのチュウ(櫻井翔)は立派なサラリーマン姿を披露している。驚きはタクマ(二宮和也)で、長髪にバンダナという謎のヒッピースタイルになっている。いったいなぜ、彼だけが妙に目立つ格好になっているのだろう。
嵐の中では特に演技派として知られる二宮だが、彼の役どころは主役を演じるにしても、一クセあるものが多い。たとえば日本テレビで6月まで放送されていた『弱くても勝てます~青志先生とへっぽこ高校球児の野望~』では、高校野球の監督役を務めるも、自身の高校時代はボールもまともに穫れない捕手だった、という設定だ。また、2013年に公開された主演映画『プラチナデータ』では、二重人格の警視庁特殊解析研究員という難しい役柄をこなしている。そんな二宮は、2010年に公開された映画『大奥』に主演した際のインタビューで「芝居のうまい人はいくらでもいる。監督や共演者、作品全体のパワーバランスがきれいな形を描くように、自分がアクセントになれたら。そのためにもアイドルでいた方がいいし、いたいと思う」(『朝日新聞』、2010年10月8日)と、独自のスタンスを語っている。
この「全体のパワーバランスがきれいな形を描くように、自分がアクセントに」という姿勢は、ドラマの裏側でも発揮されているようだ。たとえば先日、7月17日に放送された『VS嵐』では、Hey! Say! JUMPの中島裕翔と山崎賢人に、カメラが回っていない時の二宮の態度を紹介されていた。山崎によると二宮は、現場の休憩中にわざと足を踏んできたり、肩を叩いてきたりと、一見するといじめっ子のように振る舞ったりするそうだ。しかし一方で、自身に対して「現場で同じ台詞を5回噛んだら、みんなに高級な焼き肉弁当を振る舞う」というルールを課しており、みんなで食事を楽しむきっかけ作りをしているという。このように、少々枠からはみ出たような動きをしつつ、実は全体の“和”を作り出すというスタンスが、二宮特有の演技スタイルを可能にしているのではないだろうか。