結成6年で代々木体育館のステージへ 1万人のオーディエンスを惹きつけるandropの「求心力」とは

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ライブでは風船を使って客席を楽しめるパフォーマンスも披露された。

 後半のスタートは「Under The Sun」、「Pray」と、これまでに演奏した楽曲にはなかったポップさを全面に出したナンバーが続き、バンドの奥行きの広さを見せる。手拍子やコールアンドレスポンスで会場の一体感をさらに高め、「本当に自分のやっている音楽は正しいのか、わからなくなることもある。でも今日このステージに立てて、間違ってなかったと思えた」というMCとともに披露された「Sensei」からライブはクライマックスへと向かった。先日のリアルサウンドのインタビューでもあった通り、匿名性をキーに活動してきたandropは昨年頃から積極的に外に向かう活動へと向かってきた。(参考:andropが“匿名性”を捨てた理由「ちゃんと伝えることは伝えなきゃダメだなと思った」)それは「自分たちのスタンスを理解してくれる人が増えてきたから」であり、昨年ホールツアーを廻ったことで「こうやってステージに立てているのはお客さんの力だと再認識した」と内澤はインタビュー中で語っているが、まさにこの日のライブは、そんなオーディエンスへの信頼に満ちたバンド対個人のコミュニケーションだったと思う。MCで語られた「僕らの音楽を求めてくれる人がいる限り、嘘をつかないで、誠実に届けていこうと思う」という、改めてのandropの決意表明。その姿勢は、この夜正しい意味でオーディエンスに伝わったのではないだろうか。ミラーボールが回り、観客のクラップとともに会場がダンスホールと化した「World.Words.Lights.」、映像と照明のインスタレーションとバンドアンサンブルのマッチングが、圧倒的な迫力を持って迫ってくる「MirrorDance」と、フロアは最高潮の盛り上がりを迎え、「One」では大きな風船が投入された客席から大合唱が起きた。そして「ここにいるみんなが、生きていて良かったと思ってもらえたら嬉しい」というメッセージとともに演奏された「Voice」では客席に向かって大量の紙吹雪が噴射され、熱狂のうちに本編は終了した。

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本編最後の「Voice」では、大量の紙吹雪が客席に降り注いだ。

 会場中からandropの楽曲「Encore」を歌う声が響き、再びステージに迎え入れられた彼らが演奏したのは「Missing」。andropのデビューアルバムをリリースする直前に急逝した内澤の恩人であるボイストレーナーに向けて作られたというこの曲を、andropは記念すべきこの日の公演のアンコール曲として選んだ。「ここにいる皆に言いたい。大事な人は、ずっとそばにいるとは限らない」——その切実な想いを、バンドは渾身の力で奏であげ、オーディエンスに届ける。そして公演は終了する予定だったようだが、内澤が「もう一曲いいですか?」と確認し、急遽「Image Word」が演奏されることに。大歓声の中、androp初のアリーナ公演は幕を閉じた。

 この日、8月からの全国5カ所を廻るワンマンツアーを発表したandrop。ひとつの大きな舞台を乗り越えたandropがこれからどんな景色を見せてくれるのか、さらに期待は高まるばかりだ。
(取材=岡野里衣子)

■セットリスト
Opening 1.Singer 2.RDM 3.Boohoo 4.Lit 5.Bell 6.Coloful 7.Nam(a)e 8.Plug In Head 9.Six 10.Tonbi 11.Bright Siren 12.Puppet 13.Light along 14.Under The Sun 15.Pray 16.Roots 17.Sensei 18.Human Factor 19.World.Words.Lights. 20.MirrorDance 21.One 22.Voice 〈ENCORE1〉Missing 〈ENCORE2〉Image Word

■ライブ情報
『one-man live tour “period”』
8/30(土) Zepp Nagoya
8/31(日) Zepp Nagoya
9/06(土) Zepp Sapporo
9/13(土) Zepp Fukuoka
9/23(火・祝) Zepp Tokyo
9/24(水) Zepp Tokyo
9/27(土) Zepp Namba
9/28(日) Zepp Namba

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