宇野維正が横浜アリーナ公演を徹底考察

きゃりーが見せた未来型エンターテインメントーー横浜アリーナ公演の画期性とは?

宙を舞い剣を振るう、きゃりーぱみゅぱみゅ。

 先週末の土曜と日曜の2日間、横浜アリーナでの『きゃりーぱみゅぱみゅのマジカルワンダーキャッスル』を成功させたきゃりーぱみゅぱみゅ。2012年11月の武道館公演に続いて今回アリーナ公演も制覇し、来月から始まるワールドツアー(世界11か国)を終えた後は、全国アリーナツアー、あるいは初のドーム公演といった次の大きな展開も着々とその視野に収めつつある。まさに、とどまることを知らないきゃりー旋風といった感じだが、最初のMCで「今日は『ライブに来ている』というより『テーマパークに遊びに来ている』ような感覚でライブを楽しんでいただけたらいいなと思います!」ときゃりーが語った今回の横浜アリーナ公演は、この国のエンターテインメント界の常識を更新してしまうような、とても大きな可能性を感じさせてくれるライブだった。

ステージには大きな城。セットは何度も変化した。

 音楽ビジネスの中心がCDからライブへと移行する中で、昨今頻繁に語られるようになった「ライブ空間のテーマパーク化」といった観点。ただ、これはなにもこの1、2年に始まったことではなく、たとえば木村カエラは2009年の時点で明確に「テーマパーク」をコンセプトにした2万人規模のライブ『GO!5!KAELAND』を開催していたし、もっと過去を辿れば、松任谷由実が夫の松任谷正隆の総合演出のもと1999年、2003年、2007年と4年おきに開催していた『SHANGRILA』、同じく4年おきに現在進行形(次は2015年?)で開催されているDREAMS COME TRUEの『史上最強の移動遊園地 DREAMS COME TRUE WONDERLAND』など、テーマパーク的な大掛かりな演出を前面に押し出したイベントの前例はあった。昨年、「総製作費5億円」というステージセットで話題を集めたSEKAI NO OWARIの『炎と森のカーニバル』も、「メジャーデビューから2年でここまで!」という驚きはあったものの、その系譜にあるものと言っていいだろう。

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