嵐・二宮和也はソロ向きのシンガー? 個性際立つ歌声と作詞術に迫る

 また彼は楽曲を作ることができるのも大きな強みだ。嵐の楽曲においても二宮が作詞や作曲を担当したものが実は数多く存在する。とりわけ二宮の作詞力に対する評価は高く、前述の「虹」とそのアンサーソングといわれる「それはやっぱり君でした」の歌詞はファンの間でも人気が高い。「虹」の詩世界は女性目線で描かれており、歌詞中に登場する「きみ」と「君」をそれぞれ「元カレ」「今の彼氏=結婚する相手」と使い分けて歌う。二宮自身は後に音楽誌のインタビューでこの曲について「『きみ』との幸せな思い出に別れを告げて、今日『君』と結婚しますという『きみを忘れる旅』を歌ったラブバラード」だと語っている。一方「それはやっぱり君でした」は男性目線の曲で亡くなった彼女を歌った唄。その相手が「きみ」なのか「君」なのかは明かされておらず、多くの余白が聴き手に委ねられている。このような歌詞に含みを持たせ、それぞれの想像力に物語を委ねる詩世界は他のアイドルに類を見ない二宮和也の真骨頂、アーティストとしての強みとなるオリジナリティだといえるだろう。

 筆者としては、二宮和也のソロアルバムを聴いてみたいという気持ちが強い。ソロ活動への特性はリーダー大野智をも上回ると個人的には思う。その際はぜひ全編作詞も担当し、コンセプチュアルなアルバムを制作してもらいたいものだ。
(文=北濱信哉)

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アーティスト分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる