AKBフォーマットを離れた「恋するフォーチュンクッキー」は、歌い継がれる名曲となれるか

 AKB48が8月21日にリリースした32枚目のシングル『恋するフォーチュンクッキー』。セールス的にも初日で109.6万枚とAKB史上歴代3位のセールスを記録。さらに、楽曲的にも非常に評価も高く、Twitterでは各界の著名人の『恋する~』への評価ツイートをまとめたものが拡散され続けている。

 先日の第5回選抜総選挙の結果を受け指原莉乃をセンターに迎えたこの楽曲は、センターの指原のソロ楽曲「それでも好きだよ」で証明済みの鼻にかかる甘ったるいアイドル的な歌声と、オーセンティックなディスコサウンドで、確信的に80年代を意識させた楽曲となっている。専門家からは総じて評価が低いBPM150~160のギターサウンドを基調とした「ポニーテールとシュシュ」「ファーストラビット」などの"AKBフォーマット"的な代表的楽曲とはかけ離れており、特に旧来からの音楽ファンに受け入れられたのは頷ける。

 ドームツアーの最終東京ドーム4DAYSでは、板野友美、秋元才加の卒業がメインで、AKBのコンサートでは恒例となっているサプライズ発表は、AKB48グループのすべてのチームでの劇場での新公演スタート日程の発表と現AKBの研究生を昇格させての新生チーム4結成のみ。スポーツ紙の一面を飾るような大きなサプライズ発表はなかった。しかし、この新公演の発表に『恋するフォーチュン・クッキー』へと繋がる鍵がある。

 AKBの新劇場公演は、最も近いNMB48のチームNが今年の10月26日。そこから計10公演を約10ヶ月でスタートさせなければならない。1公演17曲を書き下ろさなければならないから、170曲の新曲が10ヶ月で必要となる。限りなく不可能に近いように感じられる数字だが、それを可能にするヒントが『僕の太陽』公演である。2007年7月からの4ヶ月AKB48ひまわり組(チームAとチームKの合同チーム)の劇場公演として、また2011年10月から約1年間は旧チーム4、さらには現在のSKE48チームEなどが行っているこの公演。「僕の太陽」「BINGO!」「夕陽を見ているか?」とシングル曲が中心で構成されている。そして、これらの曲は現在の大きなコンサートでも歌われ続けている。

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