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松重豊が語った「死ぬこと」への言葉の重み 『アンナチュラル』が示した“帰る家”

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 家に帰れなかった、帰る家がなかった者たち。雑居ビルで火災に巻き込まれて亡くなった三郎(一ノ瀬ワタル)、夫のヤシキ(ミッキー・カーチス)にお骨の引き取りを拒否されていた妻・美代子、父・俊哉(伊武雅刀)に拒絶された六郎(窪田正孝)。『アンナチュラル』第8話では、彼らが自分たちのことを暖かく迎えてくれる、安心できる人や場所にそれぞれ帰っていく様子が描かれた。

 三郎が亡くなったとの報告を受けた父・雅次(木場勝己)は、焼死体となり、もう姿を見ることもできない息子に「この“バチ当たり”のろくでなしが」と罵声を放つ。三郎は焼死する前に後頭部に殴られたような跡があり、腰にはロープで縛られていたような皮下出血が見つかる。このことから、単なる火災ではなく、何らかの理由によって殺された三郎の殺人を隠すための放火だったのではという疑惑が浮上していた。

 神倉(松重豊)が初めてお骨を渡そうと家を訪れた際、ヤシキは「持って帰れよ、“バチが当たった”んだよ」と突き返す。神倉が「奥さまをそんなふうに言わないでください」と言うと、ヤシキは「いやいや、俺のこと言ってんだよ。俺がろくな亭主じゃないから神様に取り上げられたんだよ」と自らを責めていた。

 神倉は「誰のバチでもない。死ぬのにいい人も悪い人もない。たまたま命を落とすんです。そして私たちはたまたま生きている。たまたま生きている私たちは死を忌まわしいものにしてはいけないんです」と言う。ビルにいた大勢の人を死に巻き込んでしまった息子を責める雅次、妻の死に自らを責めるヤシキ。そして、三郎の後頭部の骨折は事故によるもので、亡くなる直前まで生存者をロープで体に縛り付けて運んで救出していたことが判明する。また、美代子はくも膜下出血で亡くなっている。三郎と美代子、そして三郎の両親とヤシキ、誰のせいでもない。

 火災が発生した雑居ビルは、三郎にとって「まるでここが自分の家みたいだ」と言うほど大切な場所で、彼は火災のなか皆を助けに戻った。仲間たちと酒を飲み、麻雀をして楽しんだビル。若い頃に家を飛び出し、前科を作って家に帰れなかった三郎が見つけた“帰る家”だった。それでも時折、実家の話をしていたという三郎のことを六郎は「本当は帰りたかったんじゃないか」と三郎の両親に伝える。すると、両親は本当は毎年三郎の帰りを待っていたと打ち明けた。

 帰りたかった子と、帰りを待っていた親。だが、生きているうちしかその人と話すことはできない。UDIにいることを父・俊哉(伊武雅刀)に反対されていた六郎は、自身の思いを正面から伝えにいく。しかし、俊哉に「二度とうちの敷居をまたぐな」と振り切られてしまう。もう帰る家がなくなってしまった六郎は、身元不明のお骨が収められている部屋で、美代子のお骨がなくなっているのを見つける。そしてUDIラボに戻ると「おかえり」と皆に迎えられる。六郎はもう既にあった新しい“帰る家”の存在に気付いていた。

      
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