松重豊が語った「死ぬこと」への言葉の重み 『アンナチュラル』が示した“帰る家”
『Nのために』(TBS系)のスタッフによって制作されている本作は、同作にも出演していた窪田への演出が特に効いている印象を受ける。特に、美代子のお骨が帰ったことを確認して安堵する窪田の涙の演技、そして「おかえり」と迎えられたときの泣き笑いの表情が収められたシーン。彼自身の演技力はもちろんだが、演出チームとの息の合った関係性がうかがえる。また今回、『Nのために』で窪田が演じた成瀬が得意としていた将棋を打つシーンもあり、視聴者へのサービスとも感じ取れた。
そして、坂本(飯尾和樹)がひょっこり一瞬だけ帰ってきたことも注目だ。「クソ」発言を禁止された中堂(井浦新)を目の前に、坂本が「頼まれてクソ仕方なく、クソ嫌々まいりました」と登場するシーン。ミコト(石原さとみ)と東海林(市川実日子)と同じように笑ってしまった視聴者も多かっただろう。その後も中堂のサポートに回る坂本が、「血中のクソCOヘモグロビン濃度70パーセントです」と嫌味たっぷりでにこやかに伝えるなど、コミカルなネタをテンポよく挟んでくる脚本家・野木亜紀子の手腕が光っていた。
神倉は、東北で起きた震災を経験していたことも明かされている。現地を訪れ、身内の行方を探している家族や、いつまでも帰らない遺体をたくさん見てきていた。来週3月11日には震災から7年が経過するが、今年に入ってからも、不明だった遺体の身元が特定されたことが実際に報道されている(参考:河北新報オンラインニュース、岩手日報 Web News)。
(文=大和田茉椰)
■放送情報
金曜ドラマ『アンナチュラル』
TBS系にて、毎週金曜22:00~放送
出演:石原さとみ、井浦新、窪田正孝、市川実日子、池田鉄洋、竜星涼、小笠原海(超特急)、飯尾和樹(ずん)、北村有起哉、大倉孝二、薬師丸ひろ子(特別出演)、松重豊ほか
脚本:野木亜紀子
プロデューサー:新井順子(ドリマックス・テレビジョン)、植田博樹
演出:塚原あゆ子(ドリマックス・テレビジョン)
製作:ドリマックス・テレビジョン、TBS
(c)TBS
公式サイト:http://www.tbs.co.jp/unnatural2018/