アントン・コービン監督、新作のキャスティング秘話明かす「メタリカのドラマーが説得してくれた」

『ディーン、君がいた瞬間』舞台挨拶レポ

 第28回東京国際映画祭の特別招待作品に選出された『ディーン、君がいた瞬間(とき)』の上映が、本日10月24日(土)に新宿バルト9で行われ、本作を手がけたアントン・コービン監督が舞台挨拶に登壇した。

 24歳でこの世を去った20世紀最大級の青春スター、ジェームズ・ディーンと、「LIFE誌」の天才写真家デニス・ストックとの知られざる旅路を描いた本作。7年ぶりの来日となったコービンが、観客からの大きな拍手で迎えられ登場すると、「東京国際映画祭で上映できることをとても嬉しく、光栄に思っています」と挨拶をし、トークがスタート。

 ジェームズ・ディーンに興味を持った理由についてMCから質問が飛ぶと、ジェームズ・ディーンよりもデニス・ストックの方に興味があったことが明かされる。「この映画はカメラマンとその被写体との関係、その両者のバランスについての話なのです。たまたまその被写体がジェームズ・ディーンだったということが、この作品を面白くしているのです」とコメント。「10代後半になって初めて彼をみたのはポスターでした。彼の映画をみたのはもっと後で、この映画を撮ってはじめて人物としてのジェームズ・ディーンを知ることになりました」と、本作を手がけたことにより、ディーンの人物としての重要性がわかったと語る。

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 ディーン役にデイン・デハーンを抜擢した理由を聞かれたコービンは、最初はデハーンがこの役をやりたがらなかったことを明かす。「最初は僕に会おうともしませんでした。でも共通の友人である、メタリカのドラマーが彼を説得してくれたんです。デハーンはどんな役をやってもその人が実際にいるかのように感じさせてくれる俳優だと思います。外見を似せることも重要ですが、限界がある。そのギャップを埋める才能をもつ俳優だと思います」と俳優としての素質を絶賛。ストック役を演じたロバート・パティンソンについては、「彼から感じられるのは、役者としての実力を証明したいということです。それは、この映画でのデニスの考えにも似ています。ロバートは、直感的な俳優で、心に雲がかかったような悩みを抱えていて、この役にぴったりでした」とストック通じるところがあったと語った。

 U2、デヴィッド・ボウイ、ローリング・ストーンズなどなど数々の世界的アーティストを撮ってきた写真家でもあるコービン。興味のある日本のアーティストを聞かれると、森山大道と荒木経惟の名を挙げる場面も。日本の印象については、「毎回来る度に驚かせられるし素晴らしいと思います。ローテクとハイテクが混ざり合った僕の感覚を常に刺激してくれる場所ですね」とコメント。

 最後にコービンは、「この映画には、大きなメッセージが込められているわけではなく、もっとニュアンスを感じる映画だと思っています。原題は『LIFE』です。このタイトルには雑誌の「LIFE」という意味も含まれますが、誰かとの出会いが自分の人生に大きく影響を及ぼすことがある、“人生”の意味もあります。また、ディーンはこの映画で描かれている旅の半年後に亡くなっているのですが、LIFE(生きる)の反対側に“死”とういうものが漂っているんです。そして、カメラマンと被写体との関係を二人の俳優が素晴らしい演技でみせてくれていたので、つくるのも楽しかったです」と、本作の見どころをアピールし、舞台挨拶を終えた。

■公開情報
12月、シネスイッチ銀座ほか全国順次ロードショー
『ディーン、君がいた瞬間(とき)』
監督:アントン・コービン
脚本:ルーク・デイヴィス
音楽:オーウェン・パレット
出演:デイン・デハーン、ロバート・パティンソン、ジョエル・エドガートン、ベン・キングズレー、アレッサンドラ・マストロナルディ
原題:LIFE/2015年/カナダ・ドイツ・オーストラリア合作/112分/カラー/シネスコ/5.1chデジタル
字幕翻訳:佐藤恵子
配給:ギャガ
公式サイト:http://dean.gaga.ne.jp

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