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Gram Parsons

(グラム・パーソンズ)

サンフェルナンド・ヴァレーのとあるバーでの出来事。その晩、大男の黒人が自分よりも大きな女房と一緒にバーに入ってきた。そして、あるテーブルに突進していったかとおもうと、そこに座っている若者を抱きかかえ、こう言った。「イェーイ、骨のある白人の若いのに会うのは、久しぶりだな」——大男の名前は、タジ・マハール、そして”骨のある”若者の名は、グラム・パーソンズ。
60年代のロック・シーンにおいては、すでに取り残されていた感のあるカントリー・ミュージックを「俺たちもお忘れなく」といってロックと同じ舞台に引き上げたパーソンズの功績は大きく、彼がいなければ、ウェイロン・ジェニングスやウィリー・ネルソンも存在しなかったと言っても過言でない。
インターナショナル・サブマリン・バンドに始まり、バーズを経て、フライング・バリトウ・ブラザーズに至るまで、カントリーにロック世代の新感覚をもち込もうとする彼の試みは、当時、正当な評価を得ることができなかった。その挫折感、寂寥感が、彼を死に至らせるドラッグやアルコールなどの破滅的な行動に走らせたのは想像に難くない。そんな荒れた生活の中から生み出されたわずか2枚のソロ作品では、デュエット・パートナーにエミルー・ハリスを迎え、よりルーツ色を濃くしたカントリー・ロックを披露。それは、蝋燭の火が消える前の一瞬の輝きにも似た、切なくも美しいサウンドだった。
そして73年、ツアー先のモーテルでドラッグのオーヴァー・ドースにより還らぬ人となる。保守の牙城であったカントリーに最後まで挑み続けた男は、遺言通り、友人の手により、ジョシュア・トリーの砂漠において火葬されたのだった。

制作協力:
OKMusic

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