EXILEの20周年を振り返る 第4回:7人で駆け抜けた第二章、新たな伝統「PERFECT YEAR」の幕開け

EXILEの20周年を振り返る 第4回

 2001年9月のメジャーデビュー以降、メンバーの勇退や加入を繰り返しながら、音楽シーンの最先端を走り続けている、ダンス&ボーカルグループ EXILE。不動のリーダー EXILE HIROの魂を受け継ぎ、メンバー一人ひとりがボーカルやパフォーマーという枠を越えたマルチな活動を見せている彼らは、昨年11月、最後のオリジナルメンバーであるEXILE ATSUSHIを送り出したことを機に、新生EXILEとして新たな歴史を作り始めている。そして2021年、グループはデビュー20周年のメモリアルイヤーに突入。それを祝し、EXILEのヒストリーを辿りながら、改めてその魅力を紐解くのが本連載(全10回)である。第4回は、EXILE第二章として忙しない歩みを見せた2007年〜2008年までの活動を振り返る。

 2001年9月27日に、シングル『Your eyes only ~曖昧なぼくの輪郭~』でデビューしたEXILE。EXILE HIRO、松本利夫、EXILE ÜSA、EXILE MAKIDAI、EXILE ATSUSHI、SHUNの6人から成る“第一章EXILE”が残した功績は大きく、20周年を迎えた現在も、EXILE AKIRA、EXILE TAKAHIRO、橘ケンチ、黒木啓司、EXILE TETSUYA、EXILE NESMITH、EXILE SHOKICHI、EXILE NAOTO、小林直己、岩田剛典、白濱亜嵐、関口メンディー、世界、佐藤大樹という後継者達によって、その輝きは更新され続けている。

EXILE / Everything

 2006年12月6日、HIRO、MATSU(松本)、ÜSA、MAKIDAI、ATSUSHI、AKIRA、TAKAHIROから成る“EXILE第二章”は、新体制になって1発目となる21stシングル『Everything』をリリース。同曲のMVでは一流アーティストとしてのEXILEの姿を映し出し、華々しい幕開けを見せつけた。しかし、裏では様々な困難や挑戦が彼らの前に立ち塞がっていた。2006年9月、オリジナルメンバーのMATSUは、新体制で再始動するというタイミングで持病であるベーチェット病が悪化。2006年のEXILEの活動を追ったドキュメンタリー番組『6年目の真実~EXILEの素顔~』(フジテレビ系)によると、左目がほとんど見えない状態でダンスリハーサルに臨んでいたという。新メンバーも、慣れない環境の中で“EXILE”になろうと必死に闘っており、AKIRAは「TAKAHIROとは、唯一、激動の時代を共にしてきたというか。僕たちが加入した時期って、オリジナルメンバーの方々がいらして、全てが成立した中で入ったのではなく、実はEXILE・LDHを築き上げるタイミングだったんです」(※1)と当時を振り返る。TAKAHIROに至っては、2006年のEXILE加入以降、7年に渡ってスランプに陥っていたそうで(※2)、2020年1月にYouTubeチャンネル『EXILE ATSUSHI スナちゃんTV』に出演した際には、2008年に発表した『The Birthday 〜Ti Amo〜』がきっかけだったと明かしている。

【Bar ATSUSHI】EXILE TAKAHIROご来店!後編

 だが、現在は「歯を食いしばってもがいた経験があるからこそ、今の自分がある。今はスランプに感謝しています」(※3)と笑顔を見せており、2020年に始動した<EXILE RESPECT>シリーズでは、「運命のヒト」をはじめとするEXILEの名曲達をセルフカバー。「Everything」の音源は発表されていないものの、2020年9月27日に開催された配信ライブ『LIVE×ONLINE IMAGINATION PREMIUM LIVE EXILE TRAIN』では、EXILE THE SECONDのパフォーマー陣と同曲を披露。ATSUSHIがこの曲に綴った〈生きてることで すべてはOKさ!〉というエールが、さらなる深みを増して響いていた。

EXILE TAKAHIRO / 「運命のヒト」 (Music Video)

 続く2007年は、2003年に次いでEXILE史上2番目にリリースの多かった年である。1月17日には、TAKAHIROが選出された『EXILE VOCAL BATTLE AUDITION 2006 ~ASIAN DREAM~』の二次審査用課題曲も含む22ndシングル『Lovers Again』をリリース。長年EXILEのサウンドエンジニアを務めているD.O.I.が「ちょうどTAKAHIROくんが入ったばかりで、当時A&Rを務めていた佐藤達郎さんも『EXILE自体が伸るか反るかの大事な時期』と言っていました」(※4)と語るように、勝負を懸けた表題曲は、かつて『ASAYAN』(テレビ東京系)の審査員を務め、CHEMISTRYの生みの親としても知られる松尾潔がプロデュースを担当した。すると「Lovers Again」は見事に大ヒットし、EXILEのバラードの素晴らしさを世間に知らしめる存在となった。2月14日にリリースした23rdシングル『道』も、今では卒業ソングの定番として知られている。先日10月8日に放送された『中居正広の金曜日のスマイルたちへ』(EXILE20周年SP/TBS系)では、TBSにおけるATSUSHI勇退前のラスト歌唱として、ATSUSHIとTAKAHIROが歌った「道」の映像を放送。新生EXILEを牽引する立場になった現在のTAKAHIROが、真剣な眼差しでじっと映像を見つめる姿が印象的で、メンバーと共に歩んできたこの曲の重みを感じさせた。

EXILE / Lovers Again

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アーティスト分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる