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LUNA SEAはまばゆい光を放ち続ける 結成29周年迎えた武道館ライブを見て

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 2018年5月29日、日本武道館にてLUNA SEAが結成29周年を迎えた。

 思い返してみれば、日本独自のロックが根付こうとしていた90年代の音楽シーンは、生き急ぐように活動していた彼らとともにあった、と言い切ってしまってもいいだろう。1992年のメジャーデビューから2000年の終幕。そして、2010年の“REBOOT”から今日までが同じ歳月になった、と考えると、なんだか感慨深いものがある。

RYUICHI

 360度ぐるりとオーディエンスに囲まれたステージ。表舞台に立つ人間にとって、“背後”を見せることは勇気がいるものだ。逆にいえば、それだけ“自信がある”という現れでもある。そんなステージを彼らは昨年から選んでいる。「どこからでもかかってこい」ーー開演前からそう言われているようでもあった。

 定刻を過ぎ、悠々と現れた5人が光とともに武道館いっぱいに解き放った「Hold You Down」は、いつもとは違う燦爛たる様相を呈していた。

 この日は、結成記念日であると同時に、2017年12月20日に発売されたアルバム『LUV』を提げたツアーファイナルでもある。INORAN(Gt)がギターを掻き鳴らすと、RYUICHI(Vo)が頭上に大きくあげた両手でクラップを求める。おなじみのオープニングSE「月光」もなければ、どこか退廃的な香りをにおわせるようなはじまりではない、これが『LUV』の世界なのだ。そんなカラフルで明るいアルバムを、昨年12月のさいたまスーパーアリーナ公演で、自ら「賛否両論巻き起こってます、ざまぁみろ!」と言い放ったSUGIZO(Gt)。古くから彼らを応援してきたファンほど、戸惑いを感じたアルバムであっただろうし、ゆえにこのSUGIZOの言葉に救われたことだろう。彼らはいつも貪欲で、決して守りには入らない決意にも思えたからだ。あれから半年近く。こうして全国ツアーを経た今、『LUV』は彼らにとっても、ファンにとっても、あのときとは違ったまばゆい光を放っているアルバムになっているはずだ。

 間髪入れずに「TONGHIT」を畳み掛ける。ステージサイドから後方まで取り囲むように設置されたスロープ。両翼にSUGIZOとJ(Ba)、INORANは後方、1Fのオーディエンスが手を伸ばせば届くほどの距離を、ファンの顔を確かめながら闊歩する。「Dejavu」「JESUS」と、アッパーなナンバーを攻め立てる真矢(Dr)のビートも、いつになくキレがよく、図太く響いていく。

 「自分たちの思うロックって、ヤバそうなにおいがしていたり、ヒリヒリしていたり、暴力的だったりしたんだけど、それだけじゃないってことが、みんなと会って、支えてもらってわかったんだよね」。

INORAN

 そのRYUICHIの言葉は、“丸くなった”とか、“守りに入った”とか、そんな意味ではないし、ましてや歳を重ねたことに対する言い訳でないことはわかっている。ただそれは、29年という、波乱もあった年月の重みを感じさせる言葉だった。5人の個性のぶつかり合いと、お互いを探るかのように張り巡らせた緊迫感、そのスリリングな鬩ぎ合いが絶妙なバランスで成り立っていたLUNA SEAというバンドが、今こうして存続しているのだから不思議だ。

 緑色の灯りに照らされた中、奏でられた「gravity」は、そんなバンドの“危うさ”とでも言うべき情緒を体現したような代表曲だ。2000年のリリース当時は、時代背景やタイアップのドラマの印象も強く、無機質な刹那感が際立っていたのだが、“REBOOT”以降幾度となく演奏されていく様を見ていると、不気味なほどの美しさの中に、なぜだかあたたかさが浮かび上がってくる。もっとも2000年当時は、リリース後ほどなくしてバンドは終幕に向かっていたし、あの頃との意味合いが変わったのは当然のことなのかもしれない。しかし、この日の「gravity」は、どこか“危うさ”を持っていたあの頃の「gravity」だった。それはこの上ない至福感に包まれた「誓い文」のあとだったから? 先のRYUICHIのMCがあったから? いや、そうではないような気がした。どことなく感じたその緊張感は次第に高まっていき、次曲「闇火」でついにはぜた。

 INORANの優雅な12弦アコースティックギターに、SUGIZOの柔らかく、それでいて冷たくもあるような、バイオリンの旋律が紡がれる。RYUICHIは言葉を噛みしめるように歌い出す。ステージ上にいくつもの松明の炎が浮かび上がると、その歌声は次第に狂気を増していく。気がつけば、何かに取り憑かれたように歌い狂うRYUICHIに、耳も目も、そして意識さえも奪われていたのは私だけではないはずだ。続く「I for You」ではINORANの弾むようなストロークと、SUGIZOの流麗なバイオリンの旋律によって導かれるRYUICHIの歌声が、先ほどとは打って変わって優しく丁寧で、何よりも美しい。楽曲によって様々な表情を見せていく姿が、恐ろしくも思えた。

      

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