『赤だけが足りない』リリースインタビュー
Iris(アイリス)が明かす、映画『コードギアス 反逆のルルーシュⅠ 興道』主題歌に込めた思い
Iris(アイリス)の4作目となるシングル曲「赤だけが足りない」は、人気アニメ『コードギアス』の劇場版『コードギアス 反逆のルルーシュⅠ 興道』の主題歌。作編曲を浅倉大介(access)が手がけ、Iris(アイリス)の力強くも、哀愁のあるエモーショナルなボーカルを活かし、これまでにはないIris(アイリス)の一面を引き出した曲だ。
とくに、前作「ファンタスティック ジャパン」でのポップでキュートなイメージとは真逆とも言える、凛とした、大人の表情がその声にも映っている。じつはもともとは、劇場版のエンディングテーマとして制作が進んでいたそうだが、蓋を開けてみれば主題歌となって、物語の重要なパートで曲が使われるなど、渾身の一作というにふさわしい曲となった。アニメのファンへの広がりも期待できる、Iris(アイリス)にとってチャレンジとなるシングルだ。(吉羽さおり)
「浅倉さんは『それはあなたの個性だ』と言ってくれた」
ーーニューシングルの表題曲『赤だけが足りない』は、歌の雰囲気がだいぶ変わって、とても大人っぽいボーカルだったので、びっくりしました。
Iris(アイリス)(以下、Iris):そうですね。衣装も、初めてドレスみたいな服を着て。年上になったみたいです(笑)。
ーーとても似合ってますよ。この「赤だけが足りない」という曲を初めて聴いた時、率直にどう感じましたか。
Iris:いい曲だなと思いました。すごくカッコよくて、アニメともぴったりで。ただ、これまで私が歌ってきた楽曲とは違う方向性なので、どうやって歌えばいいか迷いました。
ーーレコーディングをしていくにあたって、何か参考にしたことはありましたか。
Iris:いろんなアニメソングを検索して聴いてみて、参考にしましたね。あとは、プロデューサーさんやスタッフさんたちとディスカッションして、どうやったらいいのかを話しました。今回は、歌詞も難しい言葉が並んでいたので。まずは、アニメを観て、アニメの雰囲気やストーリーを理解して、そこから作詞家の井上(秋緒)さんにも話を聞いて、言葉の意味を教えてもらったり、勉強や練習をしてから本番のレコーディングをしました。レコーディングには、作曲をした浅倉大介さんも来てくれたんです。
ーー浅倉さんからのアドバイスや、こんなふうに歌ってほしいということはありましたか。
Iris:浅倉さんからは、「自分がもともと持っている、歌いたい歌い方でお願いします」と言われました。そのあとで、細かい部分を説明してもらったり。
ーーまさに、曲の世界観やドラマをボーカルで作っていくという感じですよね。難しさはありましたか。
Iris:難しかったけど、浅倉さんの説明がとてもわかりやすかったので、レコーデイングもすごく順調でした。レコーディングの前日は、緊張と心配で眠れなかったのに、当日はすごく順調で、あの眠れない気持ちは何だったんだと思いました(笑)。
ーーこうしていいものができたんだから、ムダじゃなかったと思いますよ(笑)。
Iris:でも、今までのレコーディングではダメだと言われていたような歌い方を、浅倉さんは「それはあなたの個性だ」って言ってくれたんです。大サビのところを少しハスキーに歌っているんですけど、これまでだったらプロデューサーさんによっては「もっと力を込めて」とか、「もっとリズムを感じて歌って」ということも多かったんですけど、このレコーディングでは、それを肯定してもらえたんです。だから「え、本当に大丈夫なの?」と思って。今までのレコーディングとは真逆だったから、一瞬、頭がぐちゃぐちゃになりましたね。
ーーそれはいいレコーディングになりましたね。
Iris:いい経験でした。日本語の発音も、普段のレコーディングではちゃんと日本語に聞こえるように細かく、何度も何度もやるんですけど。浅倉さんは今までのレコーディングで怒られていたようなところを、全部ほめてくれて。いろんなプロデューサーさんと仕事をすると、それぞれいろんな意見がもらえて勉強になるなと思いました。
ーーこの曲はビートの効いた、ダンスミュージックの雰囲気があるからこそ、歌のノリが重視されたんでしょうね。
Iris:もともとこの曲は、浅倉さんが、デビュー曲の「I love me」を聴いて、わたしの声を想像して作ってくれたそうなんです。「I love me」は最初にレコーディングした曲だったから、日本語が今よりもヘタだったんですけど、それを個性として受け止めてくれて、レコーディングにも来てくれたので。とても感動しました。
ーー歌詞については、共感できることはありましたか。
Iris:歌詞を最初にもらった時は、言葉の意味が難しくてわからなかったんですけど。内容がわかってからは、すごく好きなフレーズだなと思うものがたくさんありましたね。例えば2番のBメロの<間違った出口と 交差して倒れて それでも光 目指す>というフレーズはめちゃくちゃ好きですね。
ーーどんなところがいいなと思いましたか。
Iris:勇気がある歌詞ですよね。間違っても、倒れても、前を目指して進むという気持ちはすばらしいと思いますし。わたしが日本に来て思ったのは、日本の方は、学校を卒業して、会社に入るとあまり仕事を変えないような気がするんです。同じ会社で長く働いて、その仕事が自分に合っているかどうかわからないけど、長く続けて前に進むというイメージがあって。これはすごくすばらしいことだなと思うんです。マレーシアの人だったら、仕事をやってみて、自分には合わないなと思ったら、すぐに辞めて別の仕事に変えるという方が多いんです。あとは、自分のことを思い出しました。日本に来たけど、これは本当に自分に合っているのかなって、一瞬考えたことがあったので。でも、来たからには前に進まなきゃって思ってます。だから、この歌詞を見た時にすごく元気をもらえて。
ーー自分の体験と重なったんですね。日本に来て、不安になったことがあったんですね。
Iris:めちゃくちゃ不安でしたよ。最初は言葉が全然喋れなかったし。大丈夫かな、わたしって思ってました。でも、ファンのみなさんがすごく応援してくれて。そこで元気をもらって、今は頑張れています。
ーーその気持ちで歌うからこそ、より歌にも心が入っていて。作詞の井上さんともお話をしたそうですが、どんなことを話しましたか。
Iris:歌詞の内容を話してくれました。この曲は、アニメの主人公のルルーシュの気持ちについて書いた曲だと思うんですけど、細かい言い回しのことがよくわからなくて。例えば<親指でなぞって、閉じた唇を歪ませる>という表現があるんですけど、その意味がわからなかったんです。日本で、こういう仕草をするっていうのは、気持ちを切り替えて前に進むという意味合いがあって、また立ち上がって前に進むんだという気持ちを説明してもらったので、わかりやすかったです。アニメとリンクして、イメージしながら歌えましたね。