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ケンドリック・ラマーは“現ヒップホップ・シーンの救世主”だーー渡辺志保の『DAMN.』徹底分析

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 2017年4月14日に発売された、ケンドリック・ラマーの4作目となるアルバム『DAMN.』。前作『To Pimp a Butterfly』から約2年ぶりのリリースであり、もちろん世界中のヒップホップ・ファンが待ち望んだアルバムである。

 まず、『DAMN.』のリリース前後の時系列を追っていきたい。本作への期待が一気に高まったのは、本年の3月23日。ケンドリックがネット上で「The Heart Part 4」なるシングルを発表したことがきっかけだった。楽曲発表の前日、ケンドリックはインスタグラムの過去の写真をすべて消去し、<IV>と書かれた「The Heart~」のジャケット写真のみをポスト。ファンたちは、「次作のアルバム・タイトルは『IV』になるのでは?」とざわめきたった。結局、<IV>はケンドリックの新曲のタイトルを示唆するものだったわけだが、この「The Heart」シリーズはケンドリックのキャリア初期から続くシングル・シリーズで、ヤシーン・ベイことモス・デフの「Umi Says」のトラックを下敷きにした「The Heart Part 1」の初出は2010年にも遡る(ちなみに「Part 2」はミックステープ『Overly Dedicated』の1曲目に収録されている)。

ケンドリック・ラマー「The Heart Part.1」

 「Part 3」はケンドリックの2ndアルバム『good kid, m.A.A.d city』が発表される直前の2012年10月20日に発表され、「Part 3」のリリックの最後はアルバム発表を意味する<Will you let hip-hop die on October 22nd?>(『gkmc』は10月22日に発表された)というラインで締めくくられた。そして、今回の「Part 4」でも、最後に<Y’all got ‘til April the 7th to get y’all shit together>(4月7日までに準備しておけ)というラインが飛び出し、ファンたちは否応なく4月7日に新しいアルバムが出ることを期待したのだった。そして、わずか一週間後の3月30日、新曲「HUMBLE.」がミュージック・ビデオとともに発表された(本楽曲の詳しい内容は、こちらの拙稿を参照して頂きたい)。

ケンドリック・ラマー「HUMBLE.」

 そして、世界中のファンがやきもきしながら待った4月7日当日、待てども待てどもアルバムはドロップされず、変わりにiTunesに「ALBUM」と書かれた商品購入ページが出現。そこには発売日が4月14日と記載されており、我々ファンはさらにもう一週間の辛抱を強いられたのだった(のちに、もともと4月7日に発表される予定だったのはシングル「HUMBLE.」だったと判明する)。4月14日を迎える前にも、トラックリストやジャケット写真などが徐々に公開されていき、ファンたちはわずかな情報をもとにケンドリックの次作がどんな仕上がりになるのか、推理に推理を重ねていった。

 そして迎えた4月14日。米時間の13日未明頃から既にリーク音源が出回るなどしていたが、無事にアルバムの正式リリースのタイミングを迎え、アルバム『DAMN.』の全貌が明らかになるとともに、ウェブメディアやSNSを中心に、次から次へと作品に関する記事や投稿が増えていった。筆者もリアルタイムでSNSを閲覧していたが、主に米音楽メディアが競うようにして『DAMN.』に関する情報やレビュー、考察記事をアップしていく様子は、まさに大きな波が押し寄せてくるようだった。

      

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